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・若干京天
・付き合ってる
・なぜか京天と同じ学校



気が付くとあいつを目で追っている。今、英語の授業中だってそうだ。
あいつの席は俺の二つ前の一つ右側だ。一番窓際の席の俺には黒板を見ると、丁度あいつが目に入るのだ。

あいつは可愛い。
教師の話がよく解らなくて困惑する姿も、必死にノートをとる姿も、全てが本当に可愛い。

不意にチラッとあいつがこちらを向き、にっこりと俺に笑いかけた。
俺は授業中に出来る精一杯の微笑みで返した。
笑うのは苦手なんだが……。



「なにニヤニヤしてんだ気持ち悪ィなぁ」

「ニヤニヤなどしていない」

隣の席の剣城が話し掛けてくる。
お前だって休み時間の度に、隣のクラスの松風に会いに行っているじゃないか。

「まぁロクに授業も聞かねぇでお前の成績がガタ下がりなんて、面白ぇけどな」

剣城が見下した目で、ハッと笑う。
仕方ないだろう。
シュウが可愛いから、見守らずにはいられないんだ。
そんなことを言う筈もなく、俺は

「黙ってお前も授業を聞け」

と言って、書ききったノートの次のページを開き、また一文字書いた。





「今日もあんまり先生の話解らなかったなぁー」

授業が終わり昼食の時間になった。
俺とシュウは松風、剣城、その他時々来たりするやつらと、屋上で昼食を食べている。
シュウは弁当を床に置くなり、ごろんっと仰向けになった。
上に跨がり今すぐに情事を行いたい気持ちを押さえつつ、俺は購買で買った餡パンの袋を破った。

「白竜は餡パン好きだねー
 大体いっつも買ってない?」

「………そうか?」

「うん。
 最初に食べるのも餡パンの確率高いよ」

シュウは起き上がり、餡パン美味しいもんねー、と笑いながら弁当の入っている袋を開けた。

「あと、牛乳も好きだよね、白竜。
 ベテラン刑事さんみたいだねー」

確かに、牛乳も今まさにここにある。
意外とシュウは俺のことを見てるのか。

「シュウは卵焼き」

「え?」

「好きだよな」

そう言って俺はシュウの弁当箱の中に入った、黄色く渦を巻いている卵焼きを指差す。

「いつも弁当箱に入ってる」

シュウはしばらくうーん、と考えた。

「意識的に入れるようにしてる訳じゃ無いんだけどなぁ。
 無意識にお弁当に入れてるのかなぁ……」

シュウは顎に手を当てる。
そんな仕草も可愛い。
俺は歯にこびりついたパンを取ろうと、牛乳のパックに繋がったストローをくわえた。

「白竜はすごいね!」

急に大声で言われ、俺はゴフッと牛乳で噎せた。

「……な…なんだ急に」

「だってさ、僕自身でも気付かないようなことを白竜は気付くんだよ?
 それってなかなか、凄いことじゃない?」

まぁあれだけ毎日シュウを見つめていれば、シュウの癖なんかもすぐに解るのかも知れない。

「お前が好きだから、よく観察してんだよ」

牛乳を片手にシュウの髪を撫でる。
シュウは少し照れながら、俺の手に自分の手を重ねた。

「……好き?
 僕のこと」

「当たり前だろう。
 お前が可愛いから、いつも気が付くとお前を見てる」

俺は牛乳を置き、牛乳を持っていた方の手をシュウの背中に回した。

「お前が無意識に卵焼きを弁当に入れてくるのと同じだ。
 俺も無意識に可愛いもん見てるんだ」

俺がそう言うとシュウは、ちょっと違うんじゃないかなぁと言いながら、箸を置いて俺の背中に腕を回した。

「でも嬉しい。
 ありがとう、白竜」

シュウは少し顎を引いて、俺と目線を会わせた。
下半身が熱くなってきているが、このムードを壊したくないので我慢。

「白竜大好きっ」

シュウはほぼ0距離で俺に笑いかけた。
俺は堪らずシュウに短くキスをして、押し倒した。

「え、ちょっと……はくりゅ……っ」

シュウの制止も聞かず、俺はシュウの首筋に顔を埋めた。

「……ゃ……っはく……りゅぅ……」

甘い声を出しながら、俺が息を吹き掛ける度にピクッと体が動く。
本当に可愛い。


「へいお二人さん。
 俺たちがいるの忘れてね?」

そんな楽園もつかの間、後ろから声がした。

「黙れ。俺たちの世界に入ってくるなド三流」

「ド三流っててめ……っ」

箸を強く握る剣城を無視して、腕の中にいるシュウを見ると、耳まで真っ赤になっていた。

「……そんなに恥ずかしいか?」

「はっ恥ずかしいよ!
 こんなとこ見られたら!」

もうやだぁ……とシュウは手で顔を覆い隠した。
照れているシュウも無性に可愛くて、もう一度抱き締めた。

「いつまでもイチャイチャしてんなよ」

「仕方がないだろう。
 シュウが可愛いんだ」

言ってから俺はハッと我に帰った。
しかし、本音はついつい出てしまうものだ。
押し倒しておいてまで、イチャイチャしていないと断言するのはおかしい。

「ハッ、あんまり甘やかすのもどうかと思うけどな」

「好きなものを我慢するのは辛い。
 俺はこいつが可愛くて仕方がない。
 だから続きをやろう」

「えぇ!?ちょっと白りゅんっ……んんっ」

赤面するシュウにそのまま口付けし、舌を入れた。
横で剣城と松風が何か話していたが、そんなものを聞く余裕は無かった。


「はぁ……あれは彼女溺愛症候群つってもおかしくねぇな」

「ホントだねー」





ちゃんと白竜くんはちょっと舐めるだけでやめたのよ!
なにもやってないのよ!笑


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