Novel
□刹那
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長年に渡って続く、『白石家』と『忍足家』の因縁。
昔は親族同然のように親しかった両家。
一体どこでその歯車がずれてしまったのか。
今となっては、その答を知っているものは誰も居ない。
否、知っているものが居たとしても、
最早、この両家を止めることはできなかっただろう。
『白石家』と『忍足家』は互いに武器を持つことを決めた。
忌まわしき因縁に決着をつける為に・・・。
「謙也・・・・・」
「蔵ノ介・・・・・」
己の目の前に立つ少年の名を互いに呟く二人。
蔵ノ介は『白石家』の、謙也は『忍足家』の現当主の嫡男であった。
所謂、次期当主同士。
『倒すべき相手』
しかし、彼らは互いが敵同士であることを知らずに出逢い、
親友と呼べる存在となり、
そして、いつしかそれは恋人という形に収まった。
敵同士
許されない恋
結ばれるはずのない二人
それでも尚、消えることのない相手への想いを抱えながら、
二人は互いに刃を持って立っていた。