優しく誘惑(ころ)して

□プロローグ
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知り合ったのは6年前。
僕は18才―――。彼は20才の大学生。
彼の髪は見事なハニーブロンドでシルクの様な手触りの髪を腰辺りまで伸ばしてた。
そこにいるだけで華やぐハリウッド俳優かと思う程の圧倒的な存在感があって、ああいうのをカリスマ性って言うんだろうな。
白眉の美貌を持った貴公子。
あの頃の僕は、そんな彼が僕の恋人だと思うだけで、まるでお伽噺の中のお姫様にでもなった気分で浮かれていた…。
あ…でも僕は正真正銘の男だけどね。
彼と知り合ったきっかけもお伽噺みたいだったなぁ…
今思えば…だけどね。
僕がゼミの帰り道で不良に絡まれている所を偶然、車で通りかかった彼が助けてくれたのが始まりだった。
だけど、僕は不良に絡まれた極度の緊迫と、目の前に現れた白眉の貴公子の迫力とに気圧され、満足にお礼も述べられずに名も告げず、彼に名も聞かず逃げるようにその場を立ち去ってしまったんだ。
でも、ずっと忘れられなくて街を歩けば彼の姿を探してしまう程だったの。
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