衝突の世界

□デートの約束
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GWも終盤に迎えた五月四日。
みどりの日と称された祝日。

だが、人気声優である椿にとってはGWなんて関係ない仕事だ。


「絵麻!」
「椿さん?」
どうかしましたか?と不思議そうな顔をする彼女に椿はニコニコと笑っていた。

「今日暇?」
朝8時を過ぎている時間に珍しくリビングにいる彼女に今日の予定を聞いた。

「暇ですよ?でも椿さんこれからお仕事ですよね?」
予め予定を聞いていた彼女は疑問系で聞いて確かめた。
「そーだよ!でもねっ1時過ぎに終わることになったからデートしよ?」

大学生で忙しい絵麻と中々時間が合わずゆっくりとデートが出来なかった為か彼女は自然に笑顔になった。

「はい!どこで待ち合わせですか?」

「んー今日八王子のスタジオで収録だから1時30分に八王子駅の改札前でいい?」

自分の時間と合わせているのもあるが、時間的にも早く彼女に会いたい椿は八王子をデートの選択場所に選んだ。

「分かりました!でも……お夕食の支度が…」
だんだん笑顔に曇りが表れる絵麻。


「絵麻さん、今日私は休みなので椿に付き合って下さい。支度も私一人で十分ですよ。最近は絵麻さんに頼んでばかりでしたから今日くらいご自分の時間に割り当てて下さい。それに夕食が出来た頃に煩い椿を外に出して見張っててくれた方が有りがたいのですが…」

キッチンに居た右京が声をかけた。
絵麻が気にするのを分かっていたので彼女が了承しやすいように言った。
右京なりの気遣いでもあった。

「さっすが京兄!分かってる〜♪でも煩いとか酷くね?それ邪魔って言ってるようなもんじゃね?」

少しムスッとしながらも、さりげなく絵麻に抱きつく椿はちゃっかりしていた。
絵麻は照れながら右京の気遣いが嬉しくまた笑顔になった。

「はい!ありがとうございます!右京さん」
午後からのデートだが、ゆっくりと椿との時間を過ごせることに嬉しかった。


「じゃ絵麻!また後でね★」
チュッ、と頬にキスをした。

「はぁ…」
右京は呆れてため息しか出てこないが、彼女のお陰で椿も少しは変わった事は家族として兄として嬉しいものだった。

絵麻も驚き恥ずかしいが嬉しい気持ちはある。

「行ってらっしゃい椿さん!また後で」
ニコっと少し頬が紅潮した優しい笑顔に椿も笑顔になった。

「あぁ!行ってきまーす★」
上機嫌のまま彼は仕事へ向かう為エレベータに向かう。
絵麻はそれを見送り、少し右京と話しデートの準備をしに彼女は部屋に戻った。



GWは愛しい貴方と過ごしたい。
(ちぃ…まさか…)
(ジュリ、邪魔したら許さないからね!)
(ぬ…)


end
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