桜の世界
□生きた証
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“平助君は平助君だよ…
だから、自分を忘れないで”
千鶴が俺に残した最後の言葉
俺はただ泣く事しかできなくって、そのすぐ隣にある
恐怖と不安が俺に襲いかかる
あぁ…俺は光を失ったんだ…
ずっと、目印にしていた千鶴の温かい笑顔
あいつが死んで、俺はその晩羅刹になった
理性を無くしたケダモノになった
光から目を背けた
いっそ死のうかと思った
俺は羅刹だし、そのうち力果てて死ぬ
それを分かってるからこそ、今死んで千鶴に会いに行こうとした
ふと、夜空を見上げた
何度も千鶴と見た夜空
指を指して寄り添って
ずっと眺めていた空
(こんな馬鹿なことしたら千鶴に嫌われちまうな…)
綺麗に夜空を飾る星と月
それから数分見上げていると不思議と理性が戻る
(千鶴が見てる)
そう思うと、千鶴の分まで俺は残された人生を生きよう
悔いのないように
その日から、俺は死ぬまで羅刹にはならなかった