小説集*ギンイヅ*

□幸福の時
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…吉良が目覚めるとそこは見知らぬ場所だった。
起き上がって目を開けてみるとそこにいたのは…

「藍染…隊長。」
「やぁ。吉良君。久しぶりだね。ごめんね…痛かっただろう?グリムジョーはちゃんと叱っておいたからね?」

吉良は思わず藍染に抱き付いてしまった。

「…っ…ひくっ…」
「吉良君?泣いてるのかい?」

藍染も片手で抱き締めかえすともう片方の腕で吉良の頭をよしよしと撫でた。
と。誰かが藍染の頭をこつんと殴った。

「ボクがイヅル連れて来て言うてんけど。」
「市丸隊長…」
「久しぶり。イヅル。ボクの部屋行こ?」
「…ハイ。」

吉良は返事をすると市丸の背中に抱き付いた。

「…おんぶ。」
「…ええよ。おんぶしたる。」

市丸はそう言うと吉良を背中に引き上げた。
吉良は少し躊躇ってから腕を市丸の首に巻きつけた。
しばらくすると市丸の部屋についた。

「イヅル…」

市丸は寝室の布団の上に吉良を横たえた。

「…何ですか?」
「…好き。好きやでイヅル。」

市丸はそう言うと吉良の首筋に吸い付いた。

「んっ…何ですか?いきなり。」
「イヅル…誕生日おめでとう。」
「隊長…!」

吉良はそういうと市丸に抱き付いた。

「もう…イヅルは可愛いなァ…。ボクはもう隊長ちゃうやん。な?」
「…僕の隊長は貴方だけですっ…。」
「…イヅ。抱きたい。抱いてええ?」
「…はい。」

二人は一日中繋がっていた。吉良がさらわれたのがまだ昼前だったので半日抱き合っていた…ということだ。
…次の日の朝、吉良は藍染に呼ばれた。市丸にささえてもらってそこまで行くとそこには数十体の破面が居た。

「吉良君。よくきたね。腰は大丈夫かい?」
「ハイ…なんとか。」
「皆。この子はギンの恋人、吉良イヅル君だよ。絶対に攻撃しないようにね。」

破面達は少々不満だったようだが藍染の命令なので渋々従った。

「吉良君。何時までも此処に居ていいからね。ほら、破面衣装を取りに行こうか?」
「ハイ。」

…この後吉良はしばらく虚圏に留まっていた。
愛する者のもとで過ごしているときの吉良の顔はものすごく幸せに満ちていた…
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