小説集*ギンイヅ*

□瞬夏
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僕は貴方に憧れていました
過去も現在も、そして未来もその気持ちは変わりません
ただ、昔と違うのは「愛」があるということ

とある夏の日
場所は三番隊舎でいつもとおなじようなやり取りが繰り広げられていた

「市丸隊長。急ぎの書類です。」

イヅルが書類を何枚か持ってくる
それに対してギンは一瞬顔をしかめるが手際よく判を押していく

「んー?あァ…ちょっと待って……ハイ。」

「ありがとうございます。では、提出してきます。」

イヅルは書類を受け取るとぺこりと頭を下げて出ていこうとした
それをギンが引き止める

「イヅル。」

ギンに名前を呼ばれるとイヅルはすぐに振り返る

「何ですか?」
「それ、終わったら出掛けよ。」

唐突にギンがそう言ったのでイヅルは一瞬驚いた顔になったがそのあと天使の様に微笑む

「いいですけど…何処にですか?」
「流魂街でやってる夏祭り。ちゃんと浴衣も用意してあるで。」

ギンはそういいながら机の横にあった紙袋をあさる
イヅルはそれを眺めていたがしばらくするとギンが何かを取り出した…イヅルの浴衣だ

「赤…ですか?」

イヅルが思わず聞いてしまったのも仕方が無い
その浴衣は赤で蝶々の柄だったのだ

「ウン。綺麗なイヅルに似合う思てんけど…」
「…ありがとうございます。隊長。では、書類届けてきますね。」

イヅルはにっこり微笑みながら柔かな口調で言う

「ん。いっといで。早く戻ってきてなぁー」

ギンも柔かな口調で手を振ってイヅルを送り出す
しばらくしてイヅルが戻ってくるとギンは既に浴衣姿になっていた
ギンの浴衣は深い青色に無数の星の柄でとても良く似合っている
イヅルはギンを見た瞬間思わず立ち止まってしまう

「あァ、おかえり。イヅル。」
「…たいちょ…」

ギンはイヅルが立ち止まっているのを不思議に思い、「どうしたん?」と言いながら近づくとイヅルの頭に手を乗せ顔を覗き込む

「なぁ…?」
「隊長…」
「ん?何や?」

イヅルは赤面しながらもゆっくりと言葉を紡ぐ

「かっこ、いい…です…」
「イヅルっ…!!」

ギンは思わずイヅルを抱きしめてしまう

「隊長っ…苦しいです。」
「あァ、ごめん。…ほな、イヅルも着替えよか?」
「はい」
その後イヅルが着替え終わるまでに予想外の時間を要した
何故かというと一つ終わっては接吻し…また接吻して…とラブラブイチャイチャしていたからだ
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