小説集*藍イヅ*

□瞬間
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貴方は誰を信じられるのですか?
何を信じるのですか
僕は貴方を信じます

「隊長!雪ですよ!!雪!」

ある冬の日の朝、藍染はいつものようにのんびりと寝ていた
遠くから足音が近づいてきたかと思うと、寝室の扉が勢いよく開き、吉良が入ってきてそう叫ぶ
そんなイヅルとは対象的に藍染はゆったりと起き上がりながら返事をする

「朝から元気だねぇ…吉良くん?」

なかなか動かない藍染に痺れを切らしたのか、イヅルは藍染の手を掴むと外まで引っ張っていく

「綺麗、だね」
「でしょう?」

イヅルは嬉しそうに笑いながら言うと雪の中へ走っていった
まるで子犬のように走り回っている

「…綺麗だよ、イヅル」
藍染はゆっくりとイヅルに歩み寄ると優しく抱き締め耳元でそう囁く

「え…っ」

イヅルは真っ赤になりながらもしっかりと抱き締め返す

「隊長も…カッコイイですっ」
「イヅル…」

イヅルは恥ずかしいのか顔を背けてしまう
藍染は優しく顎を掴むとゆっくりと自分の方に向かせた

「…イヅル」
「はい」
「キス、したい」
「……どうぞ」

イヅルはしっかりと目を合わせたままそう言い切るとゆっくりと瞼を閉じる
そして、藍染が口付けようとしたその時

「あーいぜん隊ちょ♪あァ、邪魔してしまいました?」
「わ…ぁっ!」

副隊長である市丸がいきなり現れる
イヅルは驚いて藍染を突き飛ばしてしまう

「あっ!隊長、すみませんっ」
「いや…大丈夫だよ」

そう言うと藍染はイヅルの頭に手を置いてくしゃくしゃと撫でる

「で、何の用だい?市丸」
「あァ、コレあげよ思て」

そういって市丸が取り出したのは…

「温泉旅館の…招待券?」

最近できたばかりの温泉旅館の招待券だった

「そ。ボク今忙しいし。二人で行っといで」
「市丸…!」

藍染は目だけで市丸に感謝の気持ちを送る
それをしっかりとうけとめた市丸は「ほな」と言うと手をひらひらとふりながら去っていった
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