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□結局のところ同じことなのです
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鬼兵隊の艦に着くなり、部屋に二人籠もった高杉と銀時。

不機嫌そうに煙管をくゆらせる高杉に、銀時は名前を呼ぶ。

「高杉…?」

どうしたものかと銀時は首を捻らせるが、生憎といって高杉が不機嫌になるような事をした覚えはない。

ついつい、溜め息を吐きそうになる。

その時、高杉が紫煙とともに口を開く。

「…なんだって、狗共と喋ってやがった」

「なんでって……たまたま、話しかけられたんだよ」

それで会話に応じたのだ。どこか、おかしなところがあるだろうか。

「…ちっ」

ひとつ舌打ちをすれば高杉は、カンッと煙管を叩く。その音が異様に部屋に木霊する。

相変わらず不機嫌な高杉に銀時もだんだんと腹が立ってきた。

(不機嫌なのはこっちだっつうの…)

はっきりと公言するには憚られるが、一応恋仲という間柄の男が部下とはいえ女と親しげに話していたのだ。

不機嫌にもなろう。

(ん?『不機嫌』…?)

自分の頭に浮かべた言葉にふと引っかかりを覚える。

(あれ、もしかして…)

いや、まさかこの男に限って。
しかしそれ以外、思い浮かばない。

あるひとつの予想を胸に秘めながら、銀時は高杉へと問いかける。

「なぁ、高杉」

「…んだよ」

低い静かな返事が返る。

「あれさぁ、もしかしてお前、」

妬いたの?

そうはっきりと問いかければ、高杉はバツが悪そうに煙管をくわえながら顔を背ける。

その行動は自分の問い掛けを肯定しているようなもので。

ずっと胸に残っていたイライラがすっと溶けたような気がした。

緩む口元を隠す気もおきない。

(なんだ、結局)


お互い様じゃないか。


そうして自分は、どうやってこの愛おしい男の機嫌を直そうかと思案しながら、またくすりと笑った。











結局のところ同じことなのです
(君に妬くのも、君が妬くのも)
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