short
□願わくば
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現代
君かへす 朝の舗石
さくさくと
雪よ 林檎の香のごとくふれ
「じゃあ、俺行くわ」
「あァ…」
銀時の言葉に高杉は短く返事をする。
ここは、ある宿の一室。ここの店主は幕府嫌いで攘夷志士をよく匿っていた。高杉もよく利用する宿の一つだ。
高杉と銀時は今宵この宿で逢瀬を交わしていた。
逢瀬といっても雰囲気が甘くなるわけではない。二人はお互いに最近あったことを、話しながら酒を飲む。情事に及ぶこともあるが、それも毎回ではなくお互いに気が向いたら。それでも、二人にとっては落ち着ける心地の良い空間だった。
今回もその例にもれず、静かに酒を飲み交わし、お互いの近況を話していた。しかし明朝近くなり、別れの時間はやってくる。
「じゃ、また次の機会に」
「あぁ、そん時は連絡する」
「ん。」
銀時は高杉と軽く言葉を交わしてから、部屋を後にする。
別れもあっさり。これも毎度のこと。
他人から見れば冷めた関係に見えるだろうが、けしてそういう訳ではない。
むしろ二人は互いに互いを求め続けている。しかし、今の本人たちの立場はそれを許さない。
いまの自分たちの立場に不服はない。自分自身で決めて、立っている立場だ。
どちらかが今を捨てるなど、きっとこの先もないだろう。
だからこそ、別れも淡白に済ます。ここで、惜しんでしまったら、もっともっとというように求めてしまうから。
銀時が出て行ったあと、高杉は外の景色を眺めながら、煙管をくゆらせていた。外は、ちらちらと雪が降っている。窓から入ってくる風が冷たい。
ふと、目線を下にさげれば丁度、銀時が雪の上を歩いていた。
さくさくと雪の音が響く。
本音を言えば、ずっとこの腕のなかに閉じこめておきたい。あの愛おしい銀色を傍に置いておきたい。
けれどそれは出来ないから。だからせめて、
「雪から、俺の残り香が薫るように…」
俺が、あいつの傍にいたという証を。
高杉は静かに瞼を下ろした。
願わくば
(君を帰す朝は雪となった。舗石に降り君がさくさくと踏んで帰る雪よ、せめてあの林檎の香りのように降ってくれ)
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冒頭の短歌は北原白秋が書かれたものです。前の『この心〜』と同じで国語の授業中に、『これ高銀だry←』となったものです。
『さくさくと』は雪の踏む音と林檎をかじる音を表しています。それから『香のごとくふれ』は別れを美しく清々しいものにするために林檎のよう香ってくれという思いがこめられているらしいです。
……美しく?清々しい?
………………出来てないね!!!←
これは難しかった´`
何だか私が書くと高杉が女々しくなる気が……違うんだ!!もっと男らしい感じに!!ガンガン攻めまくる性悪なドSに!!←
いつか書き直したいと思いました、まる
あれ作文?