short
□巡り愛
1ﾍﾟｰｼﾞ/4ﾍﾟｰｼﾞ
※転生
気がついたら、目の前にあの亡き恩師の顔があって、大好きだったあの優しい声で再び己の名を呼んだ。
『銀時』
これは夢なのではないのかと、疑うほど有り得ない光景。
伸ばしたはずの腕が異常に短く、あの刀を握っていた傷だらけの大きな手は、柔らかな紅葉のような可愛らしい手になっているのを見て、そこで初めて自分は今赤ん坊なのだと気付いた。
意味がわからなかった。
何故、自分は赤ん坊になっている？
何故、目の前に先生がいる？
何故、何故、何故、
頭の中は疑問でいっぱいで。
けれど、目の前の恩師があまりにも嬉しげで泣きそうな顔をしていたものだから、自分は小さくなった手を必死に伸ばして恩師の頬に触れる。
そんな自分の行動に、恩師は驚いたように目を丸くすると、やっぱり泣きそうに笑いながら自分を抱き締めて、声を震わせながら言葉を紡いだ。
『やっぱり、お前は優しい子だね』
その言葉に今度は、自分が泣きそうになってしまった。
→