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□牡丹雪は泣く
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現代
「オラ、銀時。飯だ」
「ん。」
高杉が手に食事を持ってきて部屋に入ってくる。銀時は軽く返事をして何となく読んでいた本を脇に置く。
ここは、鬼兵隊の艦。
といっても、さらに艦の奥にある隠し部屋。この部屋の存在を知っているのは、艦で高杉ただ一人。
銀時は今から五日前、高杉にいきなり拉致され現在この部屋に軟禁中であった。
何か目的があるのかと少し警戒した銀時であったが、特に何かされるでもなく穏やかに時間は過ぎていった。
食事を終え畳に寝転がる。そうすると、高杉は銀時の癖のある銀髪を優しく撫ぜた。
軟禁されるようになってから、高杉がよくやる行為であった。
それがどうもこそばゆく感じて、銀時は顔を高杉に見えないように俯かせる。
何だかんだ思ってはいても、高杉に撫でられることは嫌いではないのだ。
静かな時間。
酷く心地がいいものだった。
「ちと、出てくる」
高杉は銀時に伝えると部屋を出て行く。銀時は横になっていた体を起こし窓枠に座る。
外はちらちらと雪が降っていた。月の光で反射しきらきらと輝く。
そういえば昔、高杉に『お前の髪はこいつみたいだなァ』と言われたっけ。
その時は、自分はこんなに綺麗じゃないと思ったけれど、高杉はそんな自分の気持ちを見透かしてか、隣で『綺麗だ、綺麗だ』とずっと言っていた。
高杉は今でも、自分のことを綺麗だと思ってくれているだろうか。
そんなことを考えていると、入り口から何やら複数の人の声。
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