gift
□慈愛の笑顔で
1ページ/3ページ
攘夷時代
『銀時が負傷した』
そう伝えてきたのは桂だった。
だから、どうした。とは聞かなかった。桂が言いたいことなど分かっていたから。
銀時の部屋へ足を向ける。部屋の前に立ち襖を開ければ着流しを着た銀時が座っていた。
「あれ、高杉じゃん。どうしたの?」
「怪我したらしいじゃねぇか」
「あぁ?こんなのどうってことねぇよ」
そう言って銀時は手をひらひらと振ってみせる。しかしその顔は赤く、うっすらと汗も掻いていた。
(馬鹿が……)
桂の話では腹を負傷したらしい。しかも、他人を庇ってだ。銀時の他人を護ろうとする性分はもう仕方ないとは思う。
だが、だからと言って自分の知らないところで、この男が誰かのために怪我を負うというのは頂けない。
全く持って、不愉快だ。
高杉は舌打ちをすると手に持っていた手拭いを投げつける。
「うわっ!!」
「それで体拭いて、さっさと寝ろォ」
「あ?平気だっ…」
「俺が拭いてやってもいいんだぜェ?」
「……大人しく拭かせて頂きます」
「フンッ」
銀時の返事を聞き高杉は部屋を出て行った。
→