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□微睡みの中の
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ふわりと香るのは出汁のいい匂い。鍋はぐつぐつと煮立っている。
大根にたまご、はんぺん、ちくわ、つくね、餅巾着。どれも食欲をそそらせる。
「銀ちゃん、今日おでんアルか?」
「おう、今日は冷えるしアイツも好きだからな。熱燗と一緒に食えば暖まるだろ」
そういいながら銀時は小皿に少し汁をよそい味を確かめた。そんな様子を隣で見ていた神楽は物欲しそうに目を向ける。銀時は苦笑しながらちょっとだけな、と神楽にも汁をよそった小皿を渡した。
「おいしいアル!」
「そうかい」
「銀ちゃん、ホントに料理上手アルな!」
「銀さんは器用なんですぅ」
そう言って銀時は鍋に蓋をする。
「神楽ちゃん、お皿出すの手伝って」
「おうよ!任せるアル眼鏡!」
「眼鏡って何ィイィイイ!!?」
騒がしく準備をする二人を横に銀時は時計に目をやる。
(そろそろかね……)
そんなことを考えていれば玄関が開く音。
それに気付いた神楽は瞳を輝かせ玄関へと走る。
「パピー!」
廊下を覗けば神楽が高杉に抱きつき、そんな神楽を苦笑しながら抱き止めている高杉の姿があった。
「高杉さん。こんばんは」
「おう」
おら、と挨拶をした新八に紙袋を渡す。
「土産だ」
「わぁ!ありがとうございます!」
顔を綻ばせ喜ぶ新八に高杉も表情を柔らかくする。
「ほらほら、早く部屋に入れよテメーら。夕飯が冷めるだろ」
「「はーい」」
ぱたぱたと部屋に向かう二人の背中を見ながら銀時は高杉に言葉をかけた。
「おかえり」
「ただいま」
そう言って銀時は高杉に抱き付いた。
微睡みの中の
(暖かく、愛おしいものたち)
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