gift

□貴方が隣にいることに感謝を
1ページ/3ページ

現代




「今日は宴じゃ!好きに飲んで飲んで、騒ぐぜよー!!」

坂本の明るい声に広間で既に酒を飲んでいた銀時たちはふっと顔を綻ばせた。

「辰馬の奴、嬉しそうだなー」

「まあ、それはそうだろう。また四人で飲めるのだ、はしゃぐのは仕方ないことだろう」

そう四人で。

つい先日、銀時と桂、高杉は漸く仲を元に戻した。これには様々なことがあったのだが今回は省略しよう。敢えて、言うなれば『坂本、怒らすべからず』。これが今回の喧嘩で三人が学んだことであった。

ちなみに更に今回の宴のことを細かく言うならば正確には四人ではない。では他に誰がいるのかというと。

「そういうヅラも、もう酔ってない?なんか顔赤えよ?つか顔近っ!オイィイ!早速出来上がっちゃってるんですけどこの人ー!!」

「ハハハハハ!飲め飲め銀時!夜は長いぞー!」

「ちょっ…!そんな一気に飲めるわけ…!」

予想外にも早い段階で酔った桂からの猛攻に銀時が戸惑っていれば。

「オラァアア!ヅラァアァアア!銀ちゃんに何してるアルかぁああ!」

横からいっそ笑ってしまうほどの素晴らしい飛び蹴りを神楽が桂にかます。

「ぐっふぅう!!!」

「なに銀ちゃんナンパしてるアルか!私はお前をパピーとは認めないアル!」

「ちょっとぉおお!神楽ちゃん何しちゃってるの!?」

「制裁、アル」

「イヤイヤイヤ、これ制裁っていうより殺人だよね!?」

「…チッ、ダメガネは黙ってろよ」

「標準語ぉおお!」

ひたすらツッコミを入れる新八と相変わらず桂に睨みを利かせている神楽に銀時は笑いながら声を掛ける。

「サンキューな神楽、助かったわ」

銀時の言葉に神楽はニイと口元を緩めた。

「当然アル、大事なマミーを守るのは当たり前だからナ」

「なんで、銀さんがマミーなんだよ?そういう場合はパピーで良いだろうが」

「パピーはいるからいいネ、それに銀ちゃんはどっちかって言ったら断然マミーアル。料理とか掃除も得意ネ」

「あ、それは一理あるかもね」

「なぁにお前まで参加してんだ新八ぃ、そんなんだからお前はいつまで経っても新八なんだよ」

「新八なんだよってなんだよ!意味がわかんねえよ!」

大体アンタらは、と更に言葉を続けようとする新八の台詞を遮って神楽が銀時に問いかける。

「銀ちゃん、あの片目はどこアルか?」

先ほどから姿を見ていないとキョロキョロと広間を見渡す。

「あ?あー…多分別んとこで飲んでんじゃね?」

神楽の問いに返事をしながら『まったく、いつまで経っても勝手な男だ』と銀時は思ったが。

(いや、勝手だったのは俺もか…)

攘夷戦争時代、高杉と銀時は俗にいう恋仲という間柄ではあったが、周りから見ればあまりそんな風には見えなかっただろう。そんな二人だったが見えなくとも互いが必要でかけがえがなくて。

しかし攘夷戦争が終わったあの日、高杉は世界に復讐をすると銀時に告げた。けれど銀時はもう疲れていて、戦うことも死を看取ることも何もかもが嫌で。

高杉の傍を離れた。

自惚れでなく高杉には自分が必要だったはずなのに、己の身勝手な我が儘で高杉の手を離したのだ。

(でも……)

だからこそ、やっと仲を元に戻した今だから今度は傍を離れないと決めたのだ。

銀時は決意を新たにするようにキツく手を握った。









次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ