gift
□結局のところ同じことなのです
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現代
あぁ、嫌なものを見てしまった
笑うアイツ、金色の女、柔らかな空気、
くしゃり、と自分の髪の毛を掴んでみた。
女の金色とは違う、正反対の鈍い銀色。
女のようにさらさらと指通りがいいわけでも触り心地がいいわけでもない。
ただの醜い銀色。
くしゃり、
もう一度、掴んでみる。
くしゃり、
今度はさっきよりも、力を込めて。
くしゃり、くしゃり、
髪の毛にこのどうしようもない、イライラを押しつけるように強く強く。
ちらりともう一度目線をやれば、今度はあの鉄色の瞳と眼が合ってしまった。
いつの間にか、隣に金色の女はいない。
なんだか気まずくて顔を横に逸らした。
「どうした、銀時ィ?」
「……なんでもねぇよ、」
あぁ、イライラする。
いつもは変に聡いくせに、こういうところで鈍感なこの男に。
そしてはっきり言えばいいのに、重いだとか鬱陶しがられるのではないかと怯える自分自身に。
ごちゃごちゃと考えていたら、眼が熱くなってきてじわりと目の前の男が歪んだ。
自分はこんなにも、女々しい奴だっただろうか。
気を抜くと零れそうになる雫を我慢して、男に背を向ける。
「…銀時?」
「ちぃと、出てくる…」
最初はゆっくりだった足もだんだんとスピードを上げ、最後には走ってしまった。
一刻も早くアイツから離れたかった。
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