gift
□想ひ出
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現代
独りが寂しいことだと教えてくれたのは、いつも自分の銀色の頭を優しく撫でてくれたあの人で。
隣に誰かがいて握られる手が暖かいものだと教えてくれたのは、鉄色の瞳を意地悪く歪ませるあの男だった。
空は快晴。
雲一つない青空とはまさにこのことだな、と一人空を見上げながら歩を進める。
手には花束。もう片方には線香と火をつけるための新聞紙やマッチが入ったビニール袋を持って。
今日は忌々しくもあって、同時に自分や、もう二人の幼なじみたちにとって、大切な大切な日。
松陽先生の命日である。
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