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□敵同士のハズが
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女性の名は鬼兵隊唯一の女、紅の弾丸と恐れられた来島また子。
更にまた子の側に寄って来たのは鬼兵隊2の人斬り万斉こと河上万斉と変人謀略家の武市変平太。
「晋助様の部屋から晋助様じゃない声が聞こえるんスよ」
「晋助の部屋から?」
「はて、可笑しいですねェ。高杉さんは自分の部屋に人を上げるなどしないハズ」
「だったら誰なのか直接晋助様に聞くッス!」
また子は襖をドンドンと二回叩いた。
「晋助様!?誰か来ているんですか!?」
と、叫んでみるが返事は無し。
心配になったまた子はどうしようと不安そうに万斉を見た。
「仕方ないでござるな」
万斉は襖に手を掛けて無遠慮に思いきり開いた。
そこで目にした光景に三人はこれ以上にないくらい目を見開いた。
「なっ…なんでここに!?」
「これは…どういうことでしょうか…」
「白夜叉…!」
高杉と敵であるハズの銀時が酒を飲んでいれば当然驚くわけで。
「晋助、これはどういうことでござるか」
万斉がそう聞くと高杉は、
「テメェ等、勝手に部屋の襖開くんじゃねェ」
と、答えになっていない返答を返す。
「すいませんッス。一応ノックはしたんスよ」
「晋助、質問に答えぬか」
「俺に指図すんじゃねェ」
四人の間に緊迫した空気が流れる。
が、その空気を作りだした当の本人はすっかり酔っているらしく、知らんとでもいうように酒を飲み続けている。
「ひっく…たかすぎィ?……客ですか〜?」
何となく異変に気付いたらしい銀時は高杉に身体を近付ける。
高杉はニヤリと笑うと不思議そうに見てくる銀時の身体を抱き寄せた。
「ちょっ…?!」
「どういうこと、って言ったなァ万斉」
「あ…ああ」
「…こういうことだ。分かったか?」
「…なんとなく…」
高杉の言いたいことが分かった番債は少し納得がいかない顔をしつつ頷いた。
「しかし、可笑しいですねェ。貴方達は袂を別ち、敵同士。なのに何故?」
武市のもっともな質問だが高杉は、
「さァ……何でだろうなァ」
と曖昧に答えたのであった。
そんないざこざがあった翌日。
「ん?」
あれから銀時は酔いのせいで高杉の部屋で一夜を明かした。
目を覚まして最初に目に入ったのは高杉の寝顔。
「(コイツ、黙ってりゃカッコイイんだがなー)」
なんて一人思って、はっと気付く。
「(な…ちょっと待て、何で高杉の顔が真横にあんの!?なんで俺コイツと寝てんの!?つーか外明るいし!)」
急いで万事屋に帰らねばと布団から抜け出す。
「行くのか?」
寝ていると思った高杉が銀時を見つめていた。
「…ああ」
それに多少驚きつつ頷く。
「次に会えんのは…」
「俺は何時でも万事屋で待ってるからよ、また連絡くれよ」
「……ああ」
「じゃ」
銀時は襖に手を掛け、開こうとしたが何かを思い出したように振り返った。
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