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□無呼吸症候群
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現代パロ
時々、息が出来なくなる。
酷く息苦しくて、必死に息を吸おうとするのに、肺に穴が空いたかのように空気が抜けていく。
友人と話している時。
食事をしている時。
テレビを観ている時。
何の前触れもなく、いきなり。
まるで、世界に溺れているような錯覚。
けれど、一つだけ。
一つだけ、息がしやすい場所がある。
そこは、
「…オイ、銀時。起きろ」
肩を揺さぶられ目を覚ます。どうやら、寝てしまっていたようだった。
隣を見ると、端正な顔を呆れたように歪める幼なじみの男。
「やっと、起きたか」
「あれ、高杉…?俺、何してたんだっけ…」
起きたばかりで上手く頭が働かない。
そんな銀時の言葉を聞いた高杉は、溜め息を吐く。
「テメーが観てぇっつう、映画観てたんだろうがァ。まぁ、テメーは途中で寝てたがな」
「あぁ、そっか……」
そういえば、高杉の家でずっと観たかった映画のDVDを観に来ていたんだっけ。
膝を見ると、かけた覚えのない毛布が一枚。きっと隣の男が寝てしまった自分のためにかけてくれたのだろう。
観たいと言い出したのは自分なのに、何も言わず黙って気を使ってくれた高杉に、銀時は口元が緩むのが分かった。
普段は意地悪なくせに、こういうところは優しい。胸が暖かくなる。
銀時は、頭を隣の高杉の肩に乗せた。
「何だァ、いきなり」
銀時の頭を撫ぜながら、くつくつと面白そうに喉を鳴らす高杉。
「んー?……いや、ただよー…」
銀時は薄く目を細めながら笑う。
「お前の隣は、息がしやすいなぁと思って」
銀時はもっと、というように頭を高杉の肩に押し付ける。
高杉はそんな銀時の要望に答えるように、さらに頭を撫ぜ、口元を緩める。
「そうかィ」
「おぅ」
時々、息が出来なくなる。
まるで、世界に溺れているような錯覚。
けれど、一つだけ。
一つだけ、息がしやすい場所がある。
そこは、煙草の香りがする君の隣。
無呼吸症候群
(けれど、君の隣は酷く息がしやすい)
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現代パロ´∇`
最近、パロを書くのがとても楽しい今日この頃。
たがしかし、この小説はパロじゃなくてもいけたような気がする←