short

□星屑は唄う
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学パロ




『───♪』



懐かしいメロディー

どこか寂しげで、けれど慈愛に溢れた音



夜色のカーテン

きらきらと輝く流れ星

星屑たちが唄う鎮魂曲






懐かしい曲が聞こえ、自分は目を覚ます。窓を見ればもう夕日が出ていた。

眠って固くなっていた体をほぐすように、腕を伸ばし目を閉じながら耳を澄ます。

ピアノの音。

懐かしいメロディー。

この教室から音楽室は近い。誰がこの曲を弾いているのだろうか。

気になった自分は、肩にリュックを背負い音楽室へと足を向けた。




音楽室に近づくにつれピアノの音も大きくなっていく。


上手い


素直にそう思った。この曲をここまで弾けるとは、ますます興味が湧いてくる。

音楽室の前まで来ると扉が少し開いていた。そこから、そっと中を覗く。

窓から夕日の、日の光が入ってきて逆光で眩しい。目を細める。


『星屑の鎮魂曲』


この曲の題名。
作曲者が晩年に書いた最後の曲。実際にこの曲は作曲者の葬式で弾かれた。

作曲者のコメントでは『この星屑の光は美しい銀色をイメージとしています』と残している。


目を閉じ音に集中する。
鍵盤が弾かれるたびに星屑たちが頭のなかで瞬く。

その時、誤って脚を扉にぶつけてしまった。ガタッと音が鳴る。


(やばっ……)


慌てて目を開け姿勢を正す。しかし、あの美しいピアノの音は消えてしまった。

音楽室を覗くと弾いていた人物と目が合う。


「あっ……」

「……………」


鉄色の瞳。

その人物は自分と目が合うと、眉根を寄せながらピアノの蓋を閉め音楽室を出て行こうと横を通り過ぎようとした。

自分は慌てて呼び止める。


「なぁ!」


呼び止められ振り向く。その顔は知っていた。なんていったって、この学校一の不良と言われている男だったから。怪訝そうな表情を浮かべながらも、自分を待ってくれるのは彼の優しさであろう。


「さっきの曲、吉田松陽先生の曲だろう!」


男は意外そうに目を見開いた。


(あ、やっと表情が変わった)


そのことが嬉しくなって口を緩めた。


「俺も好きなんだ、なぁ他にはどんな曲が弾けるんだ?」


にこりと俺、坂田銀時は学校一の不良、高杉晋助に笑いかけた。









そうして僕らは出会う
(はじめまして、お好きなものは何ですか)









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学パロです´∇`
ピアノ少年な高杉と銀時の物語。
甘くなったらいいな。
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