short
□星屑は唄う
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「あ、はい『夢物語』」
「正解、そうだなァ…次は──」
放課後の音楽室。
あれから、自分たちはこうして毎日のように放課後、音楽室で二人過ごすようになった。高杉が曲を弾いて自分がその曲名を当てる。
高杉は吉田松陽の曲ならなんでも弾けた。まだ、曲が売れていないような初期の頃の曲も知っていて驚いたのはつい最近のこと。
高杉も自分がまさかここまでマイナーな曲を知っていたとは思っておらず驚いていた。
まあ、当然なんだけれど。
(松陽先生は俺の養父だったし…)
生まれてすぐに捨てられ施設で育った。けれど、この銀髪に紅い瞳という特異な容姿のせいで施設にもあまり馴染むことが出来なかった。
そんなとき、自分を引き取ってくれたのが松陽先生。引き取ってくれた頃には先生の曲は認められていて、音楽界では有名な人になっていた。
家には昔のCDがたくさんあったし、それを暇つぶしに聴いていた時期もあった。だから、先生の曲ならなんだって知っている。
高杉がまた違う曲を弾き始めた。
(…あ、『陽炎少女』)
ある青年に恋をした少女の、陽炎のように揺れ動く恋心を表現した曲。
よく、この曲に合わせて歌を歌ったっけ。歌といえるようなものではなかったけど、先生が嬉しそうな顔をして弾いていたのを覚えている。
無意識に口遊む。
高杉は鍵盤を叩きながら静かに銀時の声に耳を傾けていた。
ふと、曲が終わる。閉じていた瞼をあけ高杉を見た。
「…『陽炎少女』」
「正解、お前」
「ん?」
首を傾げる。そんな銀時を見て高杉は、ふっと目元を優しげに緩め口を開く。
「…え、」
ドキリと銀時の心臓が跳ねた。
高杉は言葉を紡ぐ。
「いい声してんなァ……」
優しく笑う高杉に銀時は顔が熱くなるのを感じた。
「好きだぜ、お前の声」
(あぁ、やばい……)
出会ってまだ少ししか、日が経っていないのに。
まだ、こいつのこと何も知らないのに。
男なのに。
『陽炎少女』
ある青年に恋をした少女の、陽炎のように揺れ動く恋心を表現した曲。
(あぁ、助けてください…先生)
陽炎青年
(自分はどうやら、恋をしてしまったようです)
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何かこうして自覚するパターン、前の学パロでもやりましたね。
成長しない白黒、すみません_(:3」∠)_