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◆万事屋高杉と真選組副長銀時4 





暫くすると敵は皆地に伏し立っているのは銀色だけとなった。それと同時に先程までの荒々しい音色は、掴み所のない浮かれたまるで酔っ払いの鼻歌にがらりと雰囲気を変える。

(不思議な男でござる)

「旦那!お久しぶりでさァ!」

「よお、総一郎くん久しぶりー」

「総悟でさァ、旦那」

銀色に嬉しそうに近付いていった沖田。それに答えるよう銀色は気怠げに手を挙げる。

「何だってこんなとこにいんだ、テメー」

「あ?んだよ、せっかく銀さんが帰ってきたっつうのに、屯所には誰も居やがらねえしよ。聞けばお前ら仕事だっていうじゃない。だったら大サービスで銀さんが手伝ってあげようと思って」

おかげで助かったろ?とニヤリと笑いながら尋ねる銀色に土方は顔をしかめる。長い間会っていなかったためどこか変わっているかと思っていたがどうやら間違いだったようだ。

(全然変わってねえ…)

はぁと煙草の紫煙とともに溜め息を零せばいつの間にやら近くにいた万斉やまた子が興味深げに銀色の男を見つめていた。

「土方、この男は何者でござる?」

「そっス!こんなに強い人、晋助様以外に私初めてっス」

興奮気味に頬を上気しながら早口で言うまた子を落ち着かせるよう土方が口を開こうとすれば土方の台詞に被るように銀色が声を出す。

「…晋、助?」

どこか懐かしげにけれどそれ以上に愛おしさと哀愁を帯びた声色に銀色以外の者たちが目を丸くする。

「…晋助って、高杉晋助?」

「そうでござるが、なぜ主がそれを…」

知っている、と万斉が続けようとした時。


「…銀時?」


声がしたほうへ顔を向ける。するとそこにはつい先程名前が出たばかりの高杉が入り口の前で呆然と立っていた。

「高、杉…」

銀色の男、銀時が目を限界まで見開く。ガシャンッと手から刀が落ち、そうして銀時は高杉の元へと駆け出した。

「高杉っ…!」

そう泣きそうな声で名前を呼ぶ銀時を高杉は優しく抱き留めた。

「銀時」

ゆるりと柔らかく目を緩めながら高杉は肩に押し付ける銀時の頭を優しく撫ぜる。土方たちはその様子を唖然と見るしかなかった。

2012/07/27(Fri) 22:21

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