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明王と初めて会った次の日、明王はわたしの病室にやってきた


「よォ」
「明王!
よくここがわかったね」
「昨日居た看護師にきいた」
「なるほど」


わたしを担当してる水谷さんは若くて仕事熱心でおしゃべりな看護師さんだ
明王に聞かれた水谷さんの様子が手に取るようにわかって思わず苦笑すると明王は少しムッとした表情でわたしを見る



「ンだよ」
「なんでもない
…ねぇ明王、明王はなんでここに入院しているの?」
「…」
「あー…明王が話すの嫌だったら別にいいんだけど…」
「サッカー」


ぼそりと明王が口を開いた


「サッカーで怪我した」
「…サッカーやってるんだ!
ポジションは?」
「四年前にあったFFIってわかるか?」


四年前は確か初めてFFIが開かれた年で久遠監督率いるイナズマジャパンが優勝した記憶はまだ新しい


「うん
テレビで見て…あ」
「ようやく俺が誰だかわかったようだなァ…朔宵チャン?」
「…うそ…ほんとに?
ほんとにあの不動明王なの?」
「他にいないだろ、仏像みたいな名前のやつ」
「あぁ…」


ようやく納得した
でもまさか本人だとは


「びっくりしたー
言われるまでわかんなかったよ」
「…どういう意味だよソレ」
「だって四年前…モヒカン…だったじゃ…ん…ぶふっ…w」
「殴られたいのか?朔宵」
「…ごめんなさい…w」


ようやく笑いが止まったところで明王は話を続けた


「この前の試合で足痛めて診せにきたら骨折してるから入院しろだと」
「大丈夫なの?歩き回って」
「骨折ってもヒビ入っただけだし」
「…だから松葉杖で歩き回れるのね」
「そ
朔宵チャンは?」
「わたしがここに居る理由、知りたい?」
「知りたくなかったら聞かねェよ」
「…天邪鬼」
「褒言葉として受け取ってやるよ」


明王はニヤニヤしながらそう言うと、ベッドの横にある机の上に置いてあるバナナを食べ始めた
わたしの今日のおやつが…!!!
…はぁ、と溜め息つきながらわたしは口を開いた


「検査入院っていうのは表向きの臨床実験」
「…なんて病気なんだ?」
「病名は…ない」
「はァ?」
「原因不明で世界でも数例しかない病気なんだって」
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