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□せんせいとわたしと ご
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ジャーファルが入院して一ヶ月、もうすぐジャーファルの誕生日だ
誕生日を祝ってもらったことのないジャーファルを祝おう、と計画し賛同を得た小児科スタッフ全員から数百円徴収し1ピースのショートケーキ(もちろん蝋燭付き
)と、くれよんや色鉛筆、画用紙や折り紙などの工作セットと、楽譜をあげることを決めた

一応ジャーファルの家にも連絡することにした
母親ではなく、父親にだ

「ジャーファルくんの主治医のシンドバットと申します」
「それで、ご用件とは…」
「もうすぐジャーファルくんのお誕生日なんですが、当日お祝いにいらっしゃいますか?」
「…先生、また後で電話させていただきますね
それでは」




シンドバットは忙しかったのだろう、急に電話して悪かったなーと思っていたが実はそうではなかった
ジャーファルの継母が近くにいたので、聞かれるとまずいと思ったのだ




「あなた、どなたからでしたの?」
「ああ、弁護士の先生と話していたんだよ」
「…そう
今日は何時頃お戻りになられますの?」
「そうだな…日付が変わる前には帰る」
「いってらっしゃいませ」








消灯時間を過ぎ、当直のシンドバットは一眠りしようと仮眠室へ向かおうとすると、同じく当直のアリババが声をかけた


「シンドバット先生!」
「アリババくん、どうした?」
「あの…シンドバット先生にお客様です」
「俺の?いったい誰なんだ?」
「それが…ジャーファルくんのお父様らしいんです」





アリババに礼をいい、ジャーファルの父親が来ているエントランスに出迎えにいく




「お待たせしました。シンドバットです」
「昼間はどうもお電話有難うございます」
「いえいえ、それでわざわざいらしていただいたのは…」
「電話では言えなかったことです
ジャーファルの誕生日を私は祝ってやれません」
「なぜですか?」
「ジャーファルが産まれ、ジャーファルの母親が死んだことで私は妻に頭があがりません
本当は祝ってあげたいのですが…きっとこの事を知ったら妻はジャーファルをもっと傷付けるでしょう
なので今日は祝ってやれない私から先生にお願いしたいことがあるのです」
「なんでしょう」
「ジャーファルには随分かわいそうなことをしました」
「ええ、本人と話をすればすぐにわかりました」
「でも最近、先生方のおかげで少しずつですが笑顔が増えてきたとお聞きしました
そこで、誕生日の日に来れない私のかわりにこれを渡してやってほしいのです」



というとジャーファルの父親は小さな箱を差し出した


「これは?」
「ジャーファルの母親の日記と、彼女が身に付けていたアクセサリーが入っています
ジャーファルにわたしてやってください
それではこれで失礼します」
「待ってください!」


ジャーファルの父親の腕を掴むと回りにいるSPに取り囲まれる



「…なんでしょうか」
「お気持ちもわかりましたしこれも必ずジャーファルに渡します
ですから、」
「ですから…?」
「ジャーファルに会ってやってくれませんか?
今は寝ていますが、寝顔だけでも」
「お気持ちだけ頂戴します
生憎忙しいもので…それでは失礼します」
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