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□僕と君が過ごした時を思い出しながら見送って 中編
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互いの両親の同意を得たあとは早かった

式は忍が安定期に入る1ヶ月後にすることになり、それと同時に俺の抗がん剤治療も開始した
残されている時間が刻一刻とせまっているからだ







だが副作用が思ったより酷く、式場の下見や披露宴関連を決めたりするのが難しかったため、佐久間や源田、鬼道クンに手伝ってもらうことになった






式場の下見などの忍の外出の際の付き添いを源田が、背丈が近いためタキシードの採寸を佐久間に頼み、鬼道クンには招待状や予算関連を手伝ってもらう

悪いな、と言えば笑ってこれぐらいどうってことないさ、それに自分が結婚するときの予行になっていい、と返ってきた










あいつらが帰ったあと、いつも思うことがある

本来ならば自分がやるべきことを忍にしてやれない歯痒さや、あいつらの思いやりに苛まれるのだ






かつては力を欲することに躍起になっていた自分の非力さに辟易し、ため息をつく
するとそれを偶然見たらしい冬花が、だめよため息ついちゃ、と言いながら病室に入ってきた


「ため息をつくと幸せが逃げちゃうのよ」
「…」
「あ、信じてないわね!」
「…医学的根拠なさそうだからな」
「う…まぁないけど…
私が言いたいのは、小鳥遊さんのまえでそんな顔しないでよって言いたいの」
「…はいはい」
「はいは一回でいいのよ、それじゃまたあとで来るから」






冬花のお節介に苦笑いしつつ不動はベッドに体をしずめた








そして。
そして、遂に結婚式の日がやってきた






抗がん剤治療の副作用で髪が抜けてしまい、かつらを用意してもらった
ご丁寧に癖っ毛にしてあるショートヘアーのかつらは、忍との結婚が決まり、肩のあたりまでのばしていた髪をばっさりと切り、ショートヘアーにしたときと寸分違わぬ出来映えだった







「これ鬼道くんだな、作ったの」
「あぁ」
「これにいくらかかってるか考えたら頭痛くなってきた」
「ははは、不動らしいな」
「ま、今日は何も気にするなよ
主役なんだからな」
「…おう」
「…あ、不動
お前採寸したときより痩せた?」
「…ああ」
「やっぱりな
ベルトもう穴一つ分しめないとだめだな…」
「無理だけはするなよ?」
「わかってるって」
「って言って度々無茶するからな、お前
俺は心配だ…」
「源田、お前は俺の母親か」









というやりとりがあった一時間後、式が始まった
お義父さんとバージンロードを歩く忍はとてもキレイで、思わず見とれてしまう
程なくして式が始まった






「 不動明王さん、あな たは小鳥遊忍さんを妻とし、順境にあっても逆境にあっても、病気のときも健康のときも、夫として生涯、愛と忠実を尽くすことを誓いますか」
「誓います」
「小鳥遊忍さん、あなたは不動明王さんを夫とし、順境にあっても逆境にあっても、病気のときも健康のときも、妻として生涯、愛と忠実を尽くすことを誓いますか」
「はい、誓います」
「わたしはお二人の結婚 が成立したことを宣言いたします。お二人が今わたしたち一同の前でかわされた誓約を神が固めて くださり、祝福で満たしてくださいますように」
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