テニスの王子様
□雨の帰り道
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「うっわ、マジでヤバくなってきた」
ダッシュで帰ろうとした私が馬鹿だった。
走れば走るほど、雨は強くなっていく。そんなに私を帰したくないのか。
「おかーさんに電話して傘を持ってきて頂こう」
そう考えた私は、鞄を漁って携帯を探し出した。
カパッと開くと、画面は真っ暗で、濡れた私が写っている。
…おかしいなぁ。
私、電源切らないんだけど…。
不信に思いながら電源ボタンを押すも、無機質な塊は、何も反応してくれない。
所謂、充電切れだった。
まずいぞ、どうする節木ひより!
狼狽える私を、誰もが無視して通りすぎて行く。
いくら軒下に避難したとは言え、雨は横殴りに降っているので、露出した太ももに当たって痛い。
絶望に打ちひしがれた私は、その場に蹲った。