10/26の日記

21:05
cinema:心中天網島
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キャーーー!!!!!!
渋谷で篠田正浩の特集上映がやってるわ!!!!

私のベスト映画5に入る『心中天網島』もやるわ!!
…でも観に行けないのよね\(;▽;)/
前に他で上映された時、満席で入れなくて本気で泣きそうになった事もあるので今回こそ行きたかったけど…
名作はまたやるから大丈夫。いつかこの作品を映画館で観るのが私の夢よ。

悔しいのでこの映画の素晴らしさを、知らない方にも分かり易ーくぶちまけさせてもらうわ。


69年ですって。時代もの。表現社×ATG(寺山修司はじめ、変な映画ばっかり作ってた前衛な会社)製作。


嫌なオッサンに身受けさせられる美人女郎と、彼女と愛し合う妻子持ちのイケメン貧乏商人が全てを捨てて心中するお話。
ストーリーはほぼこれだけ。

コントラストの強い白黒の映像と、ぶっ飛んだ舞台セットのような美術、女郎演じる岩下志麻の白い白いお肌。(志麻サンは商人の妻と二役演じてるの)

全てが狂気的に格好いい。この時代の頭のおかしさを感じるわ。ただの時代劇だと思ってると火傷するわよ。

近松門左衛門の人形浄瑠璃が原作で、映画の中でも黒子が役者を操ってるという設定なの。
小道具を運んだり、役者の目線を指し示したり、画面の中には常に黒子がいる。

演出として、すごく粋よね。奇抜でとにかくお洒落。
まさにATG!て感じで画ヅラとしても面白いんだけど、ただ奇抜なだけに留まらず、この映画の中で一番重要なのは主人公ではなくこの黒子達であると私は思うの。

登場人物達は自分の意志で動いているかのように見えて、実は黒子の示す方向に導かれて歩いていたり、物を手にしたり、次の行動をしている。

そうして物語は進んでいき、死に物狂いでイケメン商人が女郎をようやく殺しフラフラと草っ原を歩いていると、目の前にポツンと鳥居が現れる。
そこに何人もの黒子達が風に吹かれながら鳥居に寄りかかったり腰掛けたりして、首吊る縄を持って男が来るのを待っているの。その黒子達の格好いいこと。(このシーンには本当に痺れるわ!)
いつの間にかただの黒子から、意志を持った生き物に変わってるのよ。

ただの黒子にあらず。
彼らこそが人間や事象の全てをコントロールする真の支配者、人間を越えた「運命」なのだと思うわ。
その存在が見えなくて、全部自分の意志だと思って人は生きてるの。
でも本当は、運命に動かされてる。

または彷徨う二人の後を見張るように付いて来る様は、「死」そのもののようにも見えるわ。

白黒の映像って、白と黒と様々なグレーで出来てるけど、この映画を思い返してみると、白と黒しかなかったような気がする。鮮やかなのよ。ものすごく鮮やか。

ああ、映画観て痺れるってサイコーね。
観に行けない事が余計に悔しくなってきた。
語るんじゃなかったわ!!

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