報道関係

□20080923昇格決定!
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20080923Chugoku

返り咲き紫の大輪 J1昇格決定 '08/9/23


 広島は愛媛を4―1で下し、7試合を残して、J1へ自動昇格する2位以上を確定し、1年でのJ1復帰を決めた。
 広島は勝ち点を81へと伸ばした。前節2位の山形は鳥栖、3位の湘南は仙台にそれぞれ敗れ、仙台以外に広島の勝ち点を上回る可能性が消えた。仙台は3位浮上。
 広島は次節のC大阪戦(28日、大阪長居スタジアム)で勝てば、J2優勝も決まる。(広重久美子)
愛  媛 1 0―2 4 広  島
8勝8分   1―2   25勝6分
け18敗          け4敗
(32)          (81)

 ●…広島は昇格を決める一戦を、4―1の完勝劇で演じ切った。
 やや攻めあぐねていた前半25分、MF柏木、青山とつなぎ最後はFW佐藤寿のシュートで先取点を挙げると勢いが生まれた。35分、MF李漢宰の右クロスをMF服部がボレーで決めた。後半7分にMF森崎浩が、17分にはMF青山がゴールを決め、J1復帰を手中に収めた。
 守りはやや不安定で、終了間際に1点を失ったが、最後まで攻めきったことが防御ともなり、楽々と逃げ切った。


▽コーナーフラッグ この強さJ1でも
 9カ月半前が昨日のように感じる。2007年12月8日、同じ広島ビッグアーチで味わった屈辱。目の前で昇格を決められ、自分たちは二度目のJ2へ落ちた。それからの日々は、失った信頼を取り戻す戦い。覚悟を決めたペトロビッチ丸は、いばらの道を、たくましく駆け抜けた。
 成績だけを見れば、圧倒的だった。35試合をつぶさに振り返れば、我慢の積み重ね。開幕前から、けがが次々と選手を襲った。GKは夏場、広島ユースの選手を借りてしのいだ。11人対11人の実戦練習さえ、できない日も続いた。危機は常に隣り合っていた。それでも負けなかった。

 一年で戻る。断固たる決意の表れだった。中堅に責任感が生まれ、若手は破竹の勢いで伸びた。あの日、芝にひっくり返り、天を仰ぎ、泣き崩れ、それぞれの胸に去来した思いが、みんなを成長させた。だから今、未来を語ることができる場所へ戻った。その経験が必ず、次のステージへとつながると信じている。
 J2でぶっちぎりの地位を築いても「強い」とは、まだ表現したくない。それはJ1の舞台で示さないといけない。「私たちはサンフレッチェ広島である」と誇りを持って、胸を張るために。一年の間に飛び交った怒号と歓声。本当の歓喜を目指す戦いが始まった。(広重久美子)


▽佐藤寿、真のエースに成長
 左腕に巻くキャプテンマークが、点取り屋を真のエースに成長させた。今季からゲームキャプテンを務めるFW佐藤寿。J2得点ランキングトップを走り、日本代表にも選ばれる。J通算100得点も果たした。そんな中でもチームの勝利を第一に考える姿は、まさに大黒柱だった。

 開幕前、20得点以上とJ2得点王を目標に掲げた。まだ自身の記録に強いこだわりを見せていた。しかし、試合を重ねるにつれ変わった。「自分がゴールしなくても、とにかくチームが勝つことが大事」。他の選手の得点を引き出す役目も積極的に担った。
 常に先頭に立ってイレブンを引っ張っていた。この日も、その姿をピッチ上で示した。前半25分、MF青山からボールを受け、振り向きざまに左足を振り抜いた。動きの硬かったチームを鼓舞する値千金の先制ゴール。「自分としてもチームとしても余裕を持ってゲームを進められるようになった」。大量4得点の呼び水となった。
 誰よりもサポーターを大切にする男だ。2003年からエースとして在籍した仙台でもJ2降格。再びJ1に戻らないままチームを去った悔いが、今でも心に残る。だからこそ、昨季の降格直後、真っ先にサポーターの前でチームへ残ると宣言した。「今日、J1復帰を決めることができました」。悲願の報告の時がついに訪れた。(菊本孟)


▽試練に耐え 精神面成長
 昨季、降格が決まった広島ビッグアーチで昇格を決めた。悔し涙を流した同じ場所で、最高の笑顔がイレブンにあふれた。待ちに待った歓喜の瞬間を約1万9000人のサポーターとともに酔いしれた。
 試合開始直前、昇格を左右する山形が敗れ、勝てば昇格。その情報はチームには入らない予定だった。しかし、「実は知っていました」と選手は口をそろえる。さらに後半38分には、球団が用意したものとは別の打ち上げ花火が、会場外で上がるハプニングも。「ロスタイムに涙が出そうになった」とDF槙野は喜びを隠さない。
 序盤は動きの硬さが目立った。中盤でボールを奪われ、カウンターからピンチも招いた。それでも終わってみれば3点差の完勝。「今年は勝つべきところで勝つ、その勝負強さが出せた」とMF柏木。選手の精神力はより一層強くなった。
 次の目標はJ2優勝、天皇杯全日本選手権の頂点、そして来季には再びJ1の舞台が待つ。「まだスタートラインに立っただけ」とMF高萩。試練のシーズンで、選手の背中は頼もしさを増した。(菊本孟)


【写真説明】前半25分、チームをけん引してきた広島の佐藤寿が、左足シュートを決め先制する(撮影・坂田一浩)

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