短編
□身長差
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「なぁ、お前って好きな奴とかいんの?」
『……へ?』
『……うん、いるよ』
「そっ、か……」
『………そろそろ、帰ろうか』
立ち上がり荷物を持って教室を出ていく彼女の後について俺も教室を後にした。
教室から出てからも無言な状態が続き、若干気まずい。
……なんで俺あんな事聞いちゃったんだよー!
今になって結構後悔。しかもアイツ好きな奴いるとか言うし。
『翔ちゃん?立ち止まってどうかした?』
階段の2段下から俺を見上げるなまえ。俺が見下ろす形になってて、なんかすげー新鮮。
『翔ちゃ「好きだ」……え、』
「好きだ、なまえの事。お前は背ぇ低い奴なんか嫌だろうけど」
そう言ってる俺の顔はきっと真っ赤になってると思う。耳も赤くなってるし、心臓もドキドキとすげーうるさい。
「えと、『あたしも、』……へ?」
『あたしも、好きだよ。翔ちゃんの事』
顔をまっかにしながら満面の笑みを浮かべてそう言うなまえを見て俺は腕を引き寄せて抱きしめた。
「背低いけど、良いのかよ」
『今はあたしより大きいじゃん。それに身長とか関係なく、あたしは翔ちゃんが好きだから』
身長差なんか気にしない。だって1番好きな奴が側にいるから。
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