短編
□自分の居場所
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私のパートナー兼恋人の音也は最近全くと言って良いほど休みが無い。
アイドルとして人気があるっていうのは良いことだけど、会えないのはちょっと……
……いや、かなり寂しい。
『(分かってるのかな、今日の日の事…)』
そう、今日は音也と付き合い始めて丁度1年。
アイドルの恋愛なんて本当はご法度だから、付き合っているのは皆にも内緒にしている。
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夜になっても帰って来ない音也を待ちながら、私はリビングのソファーで寛ぎながらテレビを見ていた。
ー「次のゲストはST☆RISHの皆さんてす!」ー
『音也だっ!』
ついつい画面にくぎ付けになってしまう。画面の向こう側の音也は本当にキラキラ輝いていて、正真正銘のアイドルそのままだった。
音也は私が居なくなっても「アイドル」っていう居場所が残るけど、私には何が残るんだろう……
ー「なまえっ!!」ー
『…!?』
画面の中にいる音也が話し掛けてきた。
―「今まで俺の側に居て、支えてくれてありがとう!なまえが居なかったら今の俺は無いんじゃないかって思ってる」―
―「でもこれからの俺にもなまえが必要だから。だから……」―
「俺と結婚してくれる?」
『おと、や……』
いつの間にか私の後ろに音也が居てふんわり抱きしめられていた。
『なん、で…今、テレビ…』
「だってそれ録画だもん。……悩む必要なんか無いよ、なまえの居場所は俺の側なんだから」
『でもっ「何回でも言うよ。俺はなまえが好きなんだ、ずっと側に居たい。だから俺と結婚してください」
そんなのもう答えなんて決まってる。これからはずっと側に居られるんだから―――
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