短編

□変わらない気持ち
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『うわぁっ、雪だ!』


レコーディングが終わって外に出てみると雪が降っていた。もう3月なのに珍しい事もあるんだなと思いながら隣にいる真斗をチラリと見た。


「俺達が初めて出会ったのもこのように雪の降る日だったな」
『だね、なんか懐かしい』



早乙女学園に通っていた頃の事を思い出してちょっと感慨深くなる。
今や真斗は人気アイドルにまでなったし、私は毎日作曲に明け暮れる毎日でゆっくり過ごす事は皆無なくらい忙しくなっていた。



『雪ってなんか楽しい気分になるよ、ねっ!』
「うわっ、何をするんだ」
『ぼーっとしてるのが悪いんだよ』


白い息を吐きながら空を見上げる真斗に雪玉を投げつけた。
やっぱ私ってコントロール良いかもっ!


「そんなにはしゃいでいると転ぶぞ」
『だいじょー……わっ、』
「だから言っただろう」


ツルリと足を滑らせると真斗が後ろから支えてくれた。その腕は程よく筋肉が付きがっしりとしていた。


『ありがと……』
「前にもこのような事があったな」
『……そうだね』


同じ事を2回もやるなんて恥ずかしすぎる。私はかぁっと赤くなりながら俯いた。

と、不意に真斗の抱きしめる腕に力が篭った。


「これからもずっと側にいて欲しい。作曲家としても、恋人としても」
『うん、もちろん』



お互い忙しくなっても出会った頃の気持ちはお互い変わらない、ずっと。





 

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