†短編†
□教えてくれなきゃわかりまへん(勝呂×志摩)
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俺と坊は正十字学園に入ってからしばらくして、友達から恋人にへと立場を変えた。
俺から坊に告白して、坊は「おん・・」って言って、最初はその言葉に満足して、俺は浮かれおった。
けど、あれから1ヶ月。
何ら生活に変化はない。
最近の坊は奥村くんのことばかり気にかけていて、俺には構ってくれることも少なっている気がする。
それやから、俺は足りない頭で必死に考えた。
「勉強教えてくれまへんか?」
子猫さんが珍しく風邪をこじらせ休んだ日の放課後、坊と俺しかいなくなった塾の教室で俺は勇気を振り絞って坊に言った。
「珍し・・・まぁええで」
(よっしゃ・・・!)
けど、ことは上手く運ばない。
「なら、子猫丸の様子も見ないかんから早く帰るえ」
「・・・」
(今度は子猫さんですの。俺より、恋人のはずの俺より・・・)
「大丈夫、すぐ終わらせますさかい」
ニコッと笑って、坊が教材を鞄に詰める腕をそっと掴む。
「なんや、離しぃや」
「あっ・・・」
坊の力は俺よりあるから、軽く振り払われただけですぐ解けてしまう。それが少しショックで、思わず声を漏らしてしまった。
気まずくなって、自然と目線を下に向ける。
(やばい・・・嫌われてしまう、それだけは嫌やのに・・・)
「どうした志摩?今日何か変・・・まさかお前まで体調悪いとかやないやろな!」
おでこに手を当てられそうになって、すんででかわす。
「そんなことありゃしまへん。けど・・・」
一瞬口ごもる。
(このままにすべきなんあろか?嫌や、このままなんて、抑えられへんわ・・・!)
俺は、決意した。