†短編†
□兄さんとにゃんにゃんしたくなりまして(雪×燐)
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2月22日は猫の日らしい。
クラスの女子が「にゃんにゃんにゃん」と「にゃん」を3回繰り返し、それをまた繰り返していてうるさかったから、その事が頭から離れない。
だって、クラスの女子たちが言うよりも、絶対に兄さんが言った方が可愛いに決まっているもの。
まぁそんなの言われたら理性持たないし?
第一脳内ならまだしも、いつもいるあの兄さんが
「言うわけないよなぁ…はぁ」
ため息混じりに寮の部屋に入ると、僕は鞄を床に落としてしまうほど兄さんに目が釘付けになってしまった。
「雪男!今日は随分早かったね〜」
僕は部屋に入る前までは、ただ兄さんに「にゃん」て言われるだけで理性がプッツンする、そう思っていたんだ。
「どうしたの?雪男?」
なのに、兄さんどうして。
ガチャ
「ふぅすっきりした。…わ、わわわわわ若先生ッ!?」
今ギクって感じの顔したよね、志摩くん。それはつまりそういうことだよね、志摩くん。つまりきみが。
カチッガシャンッ
バンッ
「おい、雪男、これどういうことだよ!こんなとこで銃だして何するっつうんだよ!」
大丈夫兄さんは傷つけたりしないよ、それより早く「にゃん」て言ってよ。
ていうか兄さんが2人見える、制服を着た猫耳の兄さんとエプロンを着けたラフな兄さんが。おかしいな…視力落ちたのかな、始末したら眼科行かなきゃ。
「アカン、顔がガチや…堪忍、堪忍。往生しますわ」
ああそうだ、志摩くん、つまり君が僕の兄さんにあんな、あんな…
可愛すぎる猫耳をッ!!!!!
ブチッ
「志摩っ」
エプロンが志摩くんに寄っていって
「奥村くんっ」
志摩くんがエプロン兄さんの腰に引っ付いて
「燐っ」
猫耳兄さんが志摩くんごとエプロン兄さんに手を伸ばすのを見たけど、もう抑さえられなかった。
ドガガガガガガガガガガガガガガガッ
乱発しすぎて手応えさえ曖昧で、二つの銃の弾はすぐ切れてしまった。弾を入れなきゃ。
「ちょ、雪男、もうやめっ本当に死んじゃうぅ…」
そんなウルウルした目で猫耳兄さんに言われたらやめるしかない。ただ、
「にゃん、て3回言って」
その場がシーンと静まり返った。
煙が晴れてきたと思えばみんなの口は「へ?」で止まっていた。
けど猫耳な兄さんはよくわからないまま
「にゃん、にゃん、にゃん」
って言ってくれたので銃をしまってあげた。
よく見ると確かに兄さんが2人いて、ハーレムを喜んでいた心にエプロンを着た方の兄さんから「あっちはクロだ」って言われたから、ブロークン・ハート。
なんでも猫の日のケットシーは人に化けれると志摩くんが言ったので確かめていたらしい。
なあんだ、つまんないの。邪魔な奴が減るいい機会だったのに。
志摩くんが帰った後、兄さんに「にゃんにゃんにゃんって3回言って」って言ったら「バカじゃねぇの」って言われて、またブロークン・ハート。
けど洗い物を手伝おうと兄さんの後ろに静かに近づいたら、耳を真っ赤にしながら小声で「にゃん」って言ってくれたので、僕は抑えるものを無くしたように後ろから強引に兄さんに抱きつき、もっともっととせがんだ。
そんな、兄さんに酔いしれる僕を知ってか知らずか、兄さんは呟く。
「あぁあ、これじゃどっちが猫なんだか」
<end>