二粒の結晶。
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第1話
【帰還】
「……うあー…さみぃ」
雪が吹き荒れる雪山。その中にたった一人、寒そうに震えながらも山を登る女の子がいた。
「でもこの寒さ…久しぶりだ…うん、悪くない」
…って言っても、たった2ヶ月だけどな。
「いや、2ヶ月も会ってなかったのか…」
元気にしてんかな、士郎…早く会いたいな。
寒さを懐かしみながら、幼馴染みのことを考えてると目的地が見えてきた。
山のてっぺんであろうこの場所に、ポツンと二つの墓。これが、私がこんな朝っぱらから極寒の山の中を登ってきた理由。
「…お墓、綺麗なままだ」
雪積もってるけど。士郎が手入れしてくれてたんだろうな…。
心の中でお礼を言いながらお墓に積もった雪をはらう。当たり前だけど、冷たかった。
「父さん、母さん、おじさん、おばさん…」
脳裏に浮かんだのは、みんなで笑いながらサッカーをしていたあの頃の思い出。あんなに幸せで、たくさんの人がいたのに今はもう……二人しかいない。
「…………ただいま」
刹那。荒れ吹雪いていた雪がピタリと止み、風が私の体を吹き抜けた。その風は心なしか優しくて、暖かかった。
雲が晴れた空を見上げ、少女はフッと微笑む。
「………そうだ、聞いてほしいことがあるんだ!私があっちにいた頃の──」
いつまでも過去に縛られない。私は、父さんたちが救ってくれたこの命を大切に…精一杯生きるんだ。