二粒の結晶。
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第2話
【待ち人】side吹雪
吹雪「おはようございます、叔母さん」
叔母「あら士郎くん、おはよう」
今日はずいぶんと早いのね。と感心したように、それでもって不思議そうに叔母は尋ねる。
確かに今日の僕はいつもより起きるのか早い。でも、それにはちゃんと理由があるんだ。
吹雪「はい。今日は花香が帰ってくる日なので…迎えにいこうと思いまして」
叔母「そのために早起きしたのね、吹雪くんは優しいわねぇ」
花香と言われた子が、このマフラーを巻き、薄い紫色の髪をした、たれ目の男の子……吹雪士郎とどういう関係なのか…まだわからないが、何やら彼は特別な感情を抱いているように思えた。
名前を言ったときの吹雪の表情が、とても柔らかかったからだ。それに、“帰ってくる”のがとても嬉しいように見えた。
叔母「じゃあ、近くまで送っていくわ」
吹雪「いや、でも…」
叔母「今日は少し吹雪いているし…寒いでしょうしね」
遠慮する吹雪に、叔母は優しい口調で「乗って行きなさい」と微笑む。
なんでだろ…どうしてか、叔母さんの笑顔と母さんの笑顔が重なる。姉妹なだけあって、やっぱり母さんと叔母さんは似ていた。
吹雪「……それじゃあ、お願いします」
叔母「任せなさい!」
ドンッと胸を叩いて妙に自信ありげに言って、叔母さんは支度をしに行った。
そんな叔母さんを見て、僕はクスリと笑みを溢す。
吹雪「…………花香、」
早く君に会いたい──…
外はまだ雪が吹雪いている…。