二粒の結晶。

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第17話
【男は単純】







円堂「いたたっ…風になるのって大変だなぁ…」


塔子「しっかりしなよ!私はだんだんコツが掴めてきたよ」


吹雪「うん、塔子さん筋がいいよ」


「相変わらず何でもできるんだな有人は」


鬼道「飲み込みが早いだけだ。何でも出来るわけじゃない」


「よく言うぜ…どの口が言うんだか」


鬼道「この口だ」


「………有人キャラ変わった?」


スノーボード(円堂曰く特訓)も終わり、他愛ない話をしながら食堂に向かってる私たち。
私と有人の前では士郎たちが和やかに会話をしている。勿論私たちもなんだが………、


鬼道「気のせいだ」


「いやいや明らか変っしょ。何、機嫌いいの」


鬼道「さあな。見たままに取れ」


「んじゃいいってことで。あの鬼の有人が珍しいな…」


鬼道「いつも鬼という訳でもないからな。たまにはこういう時もある」


「ななな!!なぬぬぬッ!?」


鬼道「……何だ煩い」


「えっ、いやっ、だって今……!!」


───殴ってこなかった…!?


鬼道「………お前はそんなに俺に暴力を振るわれたかったのか」


「そんなわけねぇーよ!!寧ろ今感謝してるよ!!」


鬼道「そうか。殴られたい時は俺の所に来れば期待に答えてやるぞ」


「期待とかしてないし、そんな時は来ねぇよ」


おかしい…これは本当に有人なのか…?変にノリがいい…怒らない…殴ってこなかった…終始ブラックじゃない方のスマイル…ヤダ怖いこの有人。誰。誰だよお前。これじゃゴーグルマントじゃなくてただの有人じゃん。


「…っそんなの有人じゃねぇよ!!

──って痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!」


首が!!首が反対方向に向いちゃうぅぅぅぅ!!!


鬼道「……お前がいると気分を害する」


「それはつまり消えろって事っすか!?!?」


鬼道「……」


「無視!?」


とりあえず離してくんねえーかな首が…っ!!あ、変な音鳴った!!変な音鳴ったよ!!!痛いよ!ねぇ!!


もがき苦しんでいると、気がすんだのか有人はそっと私から手を離した。


「…おぅー…………痛い…………ッけどこれでこそ有人!!!私が求めてたのはこれなんだよ!!」


鬼道「マゾか」


一之瀬「え、花香マゾだったんだ?」


土門「マジかよ」


「変なところに誤解が」


やめてくれよ有人くん。一之瀬と土門が同時に振り向いたよ、シンクロ率100%だよ今の。


「冗談だよ、冗談。な、有人?二人とも鵜呑みにすんなよー」


土門「そうなのか鬼道?」


有人「俺はいつでも本気だ」


一之瀬「…だってさ、花香」


「…何だ、君たちはグルか、私をハメようってか、これを弱みにこき使おうと企んでるんだろ、クソっ私は決して屈しないからな!!!!」


一之瀬「何でそうなるのか…」


被害妄想をふくらませる花香を余所に、土門が鬼道に話しかける。


土門「話聞こえてたけど、確かに機嫌いいよな鬼道。何かあったのか?」


鬼道「まぁな」


ニヤリと笑う。だが、理由を教えてくれるという訳でも無いらしくその先は続かない。


一之瀬「鬼道にも色々あるんだよ」


土門「色々…なぁ…」


察しろよ、という目で言ってきた一之瀬の目線は鬼道の左ポケットに。そこには、無造作に入れられてる花香の手があった。


先程、「さむーい、有人のポケットかーりた」と言いながらズボッと突っ込んできたのだ。


土門(なるほど…そういうことか)


一之瀬「わかっただろ?」


土門「あぁ。

──鬼道、お前も案外単純なんだな」


鬼道「何だ、知らなかったのか?」


フッと笑った鬼道に、微笑ましげな一之瀬と土門。を完全に蚊帳の外な花香が順番に見る。


「…ちょっと、何の話だよ。私も混ぜろよ」


鬼道「お前にはまだ早い」


「なっ!何だよそれ!馬鹿にしてんのか!」


土門「落ち着けって」


一ノ瀬「男は単純だなって話だよ」


「……は?」


鬼道「…だから言っただろう、お前には早いと」


「う、うっせぇなぁ!ほっとけよ!」


大体ざっくり言い過ぎなんだよ、もっと詳しく!


そんな話をしている花香たちを、吹雪が気に入らないように睨んでいたのに気づいていたのは鬼道だけだったとか…。





※この先会話文


壁山「腹ヘったっス…」
「私も腹ぺこだ………壁山!早く食堂に行くぞ!」
壁山「はいっス!!」

──ダダダ…

土門「…走って行ってもすぐそこなんだけどな」
一之瀬「うん…」

──ガラッ

「飯が私を呼んでるぜえええええ!!!」
マネ「「「いらっしゃあーい」」」
「………え」
円堂「いてっ!」
風丸「大丈夫か円堂?」
円堂「…おう!悪い神崎、ぶつかって」
「……」
円堂「神崎?」
鬼道「邪魔だ早く入れ」
「……だ」
「「「だ?」」」
「まいえんじぇるがエプロンだあああああああああああ!!!!」
マネ「「「きゃあ!?」」」
「あぁ…エプロン似合いすぎだよ…可愛すぎるよまいえんじぇるたち…世界中探してもこんなに可愛い子はいないよ…」
鬼道「他の女子にも同じこと言うだろうお前」
音無「えっ…花香先輩…誰にでも言うんですか…?」シュン
「有人!余計な事言うんじゃねぇ!
春、私は可愛いと思った子にしかこんなことは言わない。だから誰にでもって訳じゃねぇよ?」
土門「つまり女子全般ってことだな」
「ったりめーだ!私から見て可愛くない女の子なんていねぇ!」
「「「つまり“誰にでも”じゃん」」」
「……………………………さーて飯だ飯!」




秋「花香ちゃん!また30回噛まないで飲み込んだでしょう!」
「か、噛んだよ!」
風丸「嘘はいけないな、神崎」
「ううう、嘘なんかじゃ…!!」
壁山「噛んでなかったッス」
栗松「噛んでなかったでヤンスね」
「お前ら…っ!!」
秋「…花香ちゃん、今度約束破ったら一週間スキンシップ禁止よ」
「ええええー!!!そんな事されちゃ私禁断症状出ちまうって!」
秋「約束よー」スタスタ
「えっちょ、秋ー!」
風丸「どんな禁断症状だよそれ…」
「30…噛むか。
……ん?風丸…今私の事苗字で呼んだよな?」
風丸「………あ」
「…あ。じゃねぇ!自己紹介の時に言ったよな、下の名前で呼んでくれなきゃ嫌だって」
風丸「ご、ごめん!ついな…」
「ったくもー…………………んー……よし。1回呼べ!」
風丸「えぇっ!?な、何でだよ」
「練習」
風丸「そんな事練習しなくても平気だって!」
「だったら何の問題なく今言えるっしょ?ほら、言ってみろっ!!」
風丸「う……」
「……」
風丸「……」
「……」
風丸「……」
「……」
風丸「…………………………花香…っ」
「……おぉー新鮮」
風丸「こ、これで良いだろっ!!////」
「んー…まぁ良いけどさ、毎回そう時間かけられちゃ話しにくいな……そんなに嫌?」
風丸「そんな事…嫌なわけない!!」
「そうか?ならいいけど…。
よし、お前たちはどうだ!」
壁山栗松「「花香先輩!」」
「おっ、こっちの先輩と違って元気でよろしい!」
風丸「うぅ…///」




鬼道「……」
吹雪「……」
土門(……空気悪っ!!)
一之瀬(何で俺、ここに座ったんだろ…涙)









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