二粒の結晶。
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第21話
【瞳子の立場】
特訓に特訓を重ね、染岡の挑戦で吹雪とエースストライカーの座をかけた勝負(勝ったのは染岡)、特訓のスノーボードも乗りこなすようになり、そしてエイリア学園と対決の日が来た。
「あれが宇宙人………には見えねぇんだけど」
吹雪「僕も」
目先にいるのは今から対戦するエイリア学園のキャプテン、レーゼ。
自称宇宙人らしいけど、どこからどう見ても人間。しかもあれ髪の毛下ろしたら絶対可愛い。私のレーダーがそう言ってる。
「………?どうかした、紺子」
レーゼから応援に来てくれている白恋のみんなに目を移すと、その中にいる紺子が不安そうに目を伏せていた。
紺子「花香ちゃん、吹雪くん…、わたし達の学校…壊されちゃうの…?」
吹雪「…大丈夫だよ、白恋中は僕たちが守る」
「あぁ!…だから心配すんな紺子。な?」
安心してほしくて優しく頭を撫でる。するとそれが伝わったのか、紺子は頬を緩ませて頷いてくれた。ホッ…よかった。女の子の不安な顔は見てられないんだよ…。
円堂「吹雪!神崎!頑張ろうぜ!」
栗松「エターナルブリザードで、奴らをバシバシ吹き飛ばして欲しいでヤンス!」
吹雪「うん!宇宙人なんかに負けないよ」
「もちのろーん!私の必殺シュートも見せてやるよ!」
一ノ瀬「そういえばまだ見たこと無かったな」
「てか円堂!!神崎言うなって言ったろ!し!た!の!な!ま!え!」
円堂「…………あ!!」
「ったく…何回言わせんだよ」
円堂「はは…悪い悪い」
強力なフォワード&ディフェンダーの吹雪に、どのポジションもこなす花香。戦力の大幅アップで今度こそ勝てるかもしれない。
そんな期待でみんなのモチベーションも上がっているが、予想外の展開が。
瞳子「吹雪くん、神崎さん。貴方達センターバックに入って」
「「「「……えええええええ!?!?!?」」」」
瞳子「ディフェンスに専念するのよ。絶対に前線へ上がってこないで。エターナルブリザードは封印してもらいます」
吹雪「……はい」
「…はーい」
有無を言わせない瞳子の口調に頷く。
ちぇっ…初っ端からぶっ放そうと思ってたんだけどなぁ…残念だ…。瞳子さんの命令だから仕方ないけどなっ!
一之瀬「何故です!二人のスピードを活かした攻撃、それが奴らへの対抗策でしょう!?」
瞳子「意見は聞いてないわ」
塔子「何だよあの監督…いきなり訳わかんねぇよ…!」
「……ん?」
何だ、このみんなの反応は。瞳子さんって監督だよな?
吹雪と花香は今の指示に特に不満はなかったのだが、一之瀬を筆頭にみんなは納得のいかないようだ。
状況をイマイチ理解できない私は、ベンチに戻る瞳子さんの後ろ姿を何やら意味深な表情で見ている有人に尋ねてみた。
「有人」
鬼道「何だ」
「瞳子さんとみんなって仲悪いのか?」
そう聞くと、有人はしばらく考えてから「長いから今度話す」と話を終わらせた。何だよ…、私は焦らされるのは嫌いだぞ。
何とも微妙になってしまった雰囲気はお嬢や有人の喝。円堂の言葉によって入れ代わり、白恋中とサッカーの運命を背負って私たちはグラウンドに上がった。