二粒の結晶。
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第23話
【解けた謎】
塔子「ちっくしょおぉー!!止められなかった!!」
壁山「悔しいッス!!!」
拳を握り締めて悔しそうにする塔子と壁山。それを見て後悔の念が胸の中で激しく渦巻く。
上手いことジェミニストームの攻撃を防いでいた私たちだが、結局先制点を許してしまった。
円堂「でも、あの二重のディフェンスとマジンザハンドなら止められるはずだ!
──三重、四重なら鬼に金棒だろ?」
期待のこもった目で円堂は私と士郎を交互に見る。対してズキッと痛んだ私の胸。
「円堂…悪い。さっき私もディフェンスに付いていたら、防げたかもしれなかったのに」
私が余所見をしなかったら…。後ろめたさに俯いていると、円堂は優しく俺の肩に手を置いた。
円堂「確かに点は許してしまった。けど、次止めてくれればいいんだ!」
みんなで一緒に勝とうぜ!と円堂は歯を見せて笑う。
温かいその笑顔に、何だかこっちまで頬が緩んだ。
「……あぁ!」
二人で顔を合わせて笑っていると、瞳子さんが私と士郎の近くに立った。
瞳子「吹雪くん、神崎さん。シュートは解禁よ。後半はフォワードとミッドフィルダーに上がって」
「「え??」」
瞳子「点を取りに行くわ」
栗松「で、でもディフェンスはどうするでヤンス?」
瞳子の指示を聞いて不安な表情になったみんなを代弁するように言った栗松。
確かに二人もディフェンスから抜けるとなると、守備力は大分低下してしまう。
唯でさえ1点リードされてしまったのだ。ここでまた失点をしてしまうわけにはいかない。
鬼道「心配するな、みんな奴らの動きに対応できている」
円堂「俺ももう大丈夫です!」
瞳子「…わかったようね」
鬼道「えぇ」
一人だけわかった風な鬼道に、春がどういう事かと問う。
鬼道「俺たちは、スピードに対抗する特訓をしてきた。だが、奴らのスピードに慣れるには時間がかかる」
「だから守備の人数を増やした。ってことだろ?」
鬼道「何だ、お前もわかっていたのか」
「ったり前」
これでも有人と肩を並べるくらいの頭脳は持ってんだ、お舐めになんじゃねぇよ?
風丸「成程。失点のリスクを減らして」
土門「奴らのスピードを把握するためか」
目金「吹雪くんと神崎さんをディフェンスに専念させたのは…」
栗松「中盤が突破されたら、あのスピードじゃなきゃ防げないからでヤンスね!」
次々に解けていく謎。瞳子のあの指示にはこのような意図があったのだ。滅茶苦茶な事を言っていたわけじゃなかったということだ。
(さっすが瞳子さんっ)
春奈「最初から言ってくれればいいのに…」
不思議そうに春は瞳子さんを見上げるが、瞳子さんは何も言わずツンッとした態度をとった。
え、ツンデレ?
秋「でも、自分達で答えを見つける方が絶対に力になるわ」
円堂「そうさ!答えを知りたければ汗をかけばいいんだ!」
へぇ…、
「円堂も秋もいい事言うなぁ。
ま、最初から答えを教えてもらうほど面白くないものはないだろ。自分達で道を切り開いていくから楽しいんじゃないか」
なぁ?と風丸にふったら凄く困られた。突然すぎたみたいだ、ごめんね。
円堂「吹雪、花香!どんどんゴールを狙っていけ!」
吹雪「うん、頑張るよ」
「おう、任せとけ!」
うっしゃ、これであいつらに一発ぶちかませる!
くよくよするのは性に合わないし、これをチャンスにみんなのために挽回しよう。
微笑む吹雪と張り切る花香を染岡は険しい顔で見ていた。