『道標』

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第9話
【なみだ】


神童「おぉぉぉおお!!」


突然神童が化身を出したため、雷門イレブンは一驚する。彼が化身を出したのはどうやらこれが初めてのようだ。


神童「雷門を守るのは…俺だぁぁ!!」


松風「きゃ、キャプテン…!」


どうしたらいいのかわからず、うろたえていた松風を神童は「どけぇっ!」と突き飛ばす。


神童「俺はキャプテンなんだ!サッカー部を守らなくちゃならないんだッ!」


涙を溜めながら。悲痛げに聞こえる彼の叫び。それは自分自身に言い聞かせているように聞こえた。


剣城「やってみな、潰してやるよ。この俺がな!」


剣城が神童に向かって、ボールを蹴る。同時にランスロットが剣を降り下ろす。


神童「おぉぉぉぉおおお!!」


神童の化身はタクトから光の輪を出し、ランスロットの剣を受け止めた。競り合いになった後、ボールは弾かれ高く飛ぶ。2人はそれを追いかけるべく飛び上がった。


神童・剣城「「おおおおおぉぉ!!!!」」


黒木「そこまでです!」


黒木が制止の言葉をかける。瞬間剣城は動きを中断、神童がそのまま蹴ったためボールは場外へと飛んでいった。


剣城「何故です」


着地した剣城が不満な表情で黒木に尋ねる。


黒木「撤収します」


神童「…っ逃げるのか!?」


黒木「逃げる?見逃すと言ってもらいたいですね」


納得いかなさそうだった神童が言葉を詰まらせる。


黒木「…しかし、結果的にあなたの存在が雷門を守ったといえますかな、神童くん」


黒木はそういうと、神童が反論する隙を与える間もなく剣城たちと撤退してしまった。


神童「……っ」


松風「神童さん!!!」


薄れる意識の中、仲間たちが俺を名前を呼ぶ声が聞こえた。









「どうして見逃したんだ…」


拓人が化身を出現させたからか?もしかしたらサッカー部は廃部にならないかもしれない。


途中から試合を見ていた真言は、ひとまず試合が終わり、一気に体から力が抜けた。


「でもまさか化身を出すなんて」


反動だろう、意識を失ってしまったみたいだし怪我もしていた。だけど重い怪我ではなさそうだった、私はほっと胸を撫で下ろす。


このことは全てあの人に報告しないと。


「見届けることが出来てよかった。


やっぱりあの子は面白い子だったな、これがいい風になればいいが…」


真言は暖かい目で松風天馬を見つめると、サッカー棟の外へと足を進めた。


まさかこんなに早く鍵になりそうな子と会えるなんてね。








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