シドライ

□ただ、会いたくて
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「あ〜あ〜」

天気が良くて気持ちのいい朝なのに、椅子に寄りかかり、机の上には足を両足を組むように放り出しているこの行儀が悪い男が、わめいている。

こういうのは、聞かないほうがいいと無視を決め込んだ。

カタカタとパソコンを打ち、仕事に集中させた…

が、それが悪かった。

無視されたのが気に障ったらしい

首筋に息をふーっと吹きかけられる。
背筋にぞわぞわっと寒気が襲ったと同時にライトニングは叫んだ

「りぐにぃ!!」

悪さをしたのは、大尉リグディ
リグディのニヤッとした顔を見てライトニングは、ハッとして、口を抑えた

しまった、今は勤務中
いくら、幼い時からの知り合いとはいえ、上司である彼を「リグにぃ」とは、流石にマズイ

何だかんだ考えてたら、リグディが目の前でニヤニヤしてる。
こういう笑顔は、何かある。
「いい事教えてやろうか?」

「いい事?」

「今日、レインズ准将はお見合いなんだって」

「えっ?」
「あれ?聞いてない?」

「ええ、そうですか。私は少し失礼します。」
声が震えてるのが自分でも分かった。
ここから立ち去らないと、涙が零れ落ちそうだった。

自分の気持ちに気づいたのは最近の事だ。
私は、従兄である、シド・レインズが好きだ
この気持ちは自分でもどうにもならず、でも、叶うわけがない。
顔を見るたびに嬉しくて苦しくて
胸が高鳴った。

人が居ない場所で立ち止まり、泣き崩れた。

コミュニケーターの音がけたたましく鳴る。

着信者の名前に、出るか迷う

シド・レインズ

震える手を抑え、電話をとる
「は…い。ファロンです。」
声が震える
「エクレール?」
仕事には戻れない。
目は真っ赤だ
「すいません准将、体調が悪いので、今日は…」

声がもたなかった
レインズにも、彼女が泣いているのがわかったのだろう
「エクレール、どうしたんだ?」
声のトーンが変わる。
「ごめん、なさい」

それしか、言えなかった。
気がついたら、コミュニケーターの通話を切っていた。

自室に戻りカギをロックした。
シドにぃ、シド
苦しい、会いたい

でも…
伝えれない気持ち
どうしていいかわからない。

こんなに人を好きになった事なんかなかった。

ドンドン
自室のドアからノックの音

誰が訪ねて来たかすぐにわかった。
開けれない…

「エクレール、開けてくれ」

ライトニングは首を振る

「ごめん、シドにぃ、本当に体調が…」
「ファロン軍曹ここを開けたまえ」

ズルいこんな時ばっかり

「これは、命令だ」

立場上ドア越しに叫び合うわけにもいかない
そんなのわかってる。
だから、彼はズルいやり方をする

ライトニングは、彼と目が合わないように気をつけながらドアを開けた。

レインズは、ドアが開くとすぐさま中に入りドアを閉めた。

ライトニングは、唇を噛み締め俯いたまま動かない。

「すまない、命令などして」

ライトニングは、首を振る

「エクレール?」
顎を持ち上げられ視線を合わせた

もう、逃げれない。
この想いを伝えたら、この関係が壊れてしまうのが怖い
だから言うつもりは無かった
このままでいいと思った

だけど、

もう苦しい


彼女の、目から涙が溢れる

「ごめんなさい。私…シドにぃから、逃げたの」

「逃げた?」
優しく問いかけてくるレインズ

彼はベットの上に腰をかけた

「シドにぃ、私、
シドにぃの事が好きだ。」

驚いた表情のレインズが目に入る
それでも、彼女は言葉を続けた。
「もう、どうしようもないくらい貴方を愛してしまった。
この想いを伝えたら今までの関係が壊れてしまうと思うと怖くてずっと言えなかった。
今日シドにぃがお見合い行くと聞いて涙が止まらなくなって、どうしていいかわからなくて…」


レインズは、そっと彼女の頭をなでた。

「もういい。泣くな…おいで」

ライトニングを自分の膝の上に乗せた。

「エクレール、私も同じだ。
君を愛してる。
嬉しいよ。俺を想ってくれて。」

「えっ?でも…お見合…」

「はじめから行く気は無かった。
あれは、リグディの意地悪だな」

ライトニングは、プチパニックにおちいっていた

まさか、想い人と両想いだなんて

それから青い瞳と視線が絡まって、じっと見つめあう。
途端に空気が甘く、温度が上がったような気がした。
「エクレール」


そっと唇を合わせる。
柔らかい…。
最初は啄むような浅いものだったが、夢中になって、段々深く、絡み付いていく。


「…ん…はぁ…」


時々漏れる彼女の熱い吐息と鼻のかかった甘い声に、口づけて感じる快楽に、身体の方も素直に反応してくる。



「シドにぃ」

「エクレール、本当にいいの?」

長いキスでトロンとしている彼女の、顔を確認する。
揺れる瞳に潜めた眉はとっても扇情的だった。
彼女は頬を染めて、こくりと頷く。
余りにも可愛い反応に面食らった


「愛してるよ…エクレール…」

「ん…」


首筋に吸い付いて跡を付けた後、シャツと下着を脱がせる。
恥ずかしがって隠そうとする彼女の腕を頭の横に固定させれば、白くて美しい彼女の身体があらわになってに目が眩んだ。
あんまり見ないで…シドにぃ、


「綺麗だ、エクレール」

それからレインズはエクレールに溺れる様に、ベットに身を沈めていった。

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