シドライ

□守りたいものU
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「アダモただいま到着しました。」
敬礼する、アダモに早く入れと言わん限りに腕を引くリグディ…

ガタイのいい彼をソファに座らせ、先ほどのコミュニケーターの画像をアダモにみせた。

「画像が鮮明ではなくて悪いのだが…誰か分かるか?」
「ファロンですか?」

何故そちらを見る?
キスしようとしている画像しか無いのだからこれしか見せ用がないというのに…

「こっちの男だ…」

なんだか、頬が赤くなっている
おい…アダモよ今は緊急時なんだ…ライトニングのキスで赤くなるんじゃない…
お前、いくつだよ…

「ああ。思い出した。
バルト…申し訳ないファミリーネームは忘れた。ファロンの士官学校の時のペアだ。」

「で?このファイル…分かるか?」

赤いファイル…

「ファロンは、まだ持っていたんだな…バルトの妹が死んだ時に守れなかったと自分なりに調べたらしいんだ。
わかったのは…その時ぐらいに設立された、騎兵隊の兵士の手元が滑りバルトの妹に当たったらしい…」

「だから騎兵隊をうらんでいると?」

アダモが机の上の写真を手にとり目を見開いた…

「こいつはっ?」

写真をみて、リグディが答えた。
「ああ、そいつは、ファロンと一緒に捕まった男だ…。」

アダモの、慌てぶりにレインズとリグディは顔を見合わせるしかなかった…


☆☆☆

「んっ…」
私は…ああ…バルトに…
ライトニングは倒れている男に、目をやった。

こいつが、殴られるのを一度も見ていない。この男…やはり…

「ライト?目が冷めた?」

優しいトーンで話す彼。

「ああ。バルト…話しがしたい…」
「いいよ。」

真っ暗な空今の時間もわからない…ただ空を眺め話した。
「騎兵隊が…憎いか?」

少し驚いた表情でライトニングを見る彼…
「どうなんだろう…騎兵隊全部ではないよ…」
「そうか…なら、よかった。」
バルトの顔を見つめ少し笑った。

「バルト、死んだら人は何処に行くんだろうな?」
「わからない…」

「私もだ。
人の命を奪う事に意味はあるのか?
シド.レインズを殺す事に意味はあるのか?」

人が人を殺すのは異常だ。
命は尊いモノなのに復讐など馬鹿げてる…
そんなの、誰も望まない…
お前の妹だって…

「妹は帰ってこないと言いたいのか?」
「そうだな…帰ってはこない…
でも、お前は気付いてるはずだ。シド.レインズは復讐ではないと…」
「復讐だッ‼」

あの日…妹が死んだ日…

俺とペアだったライトは、士官学校の実習訓練で騎兵隊にいた。
設立されたばかりの隊に期待や自分が役に立つかという不安もあった。

午後、緊急召集が入った…

人出が足りず、士官学校の実習生も駆り出された。

強盗事件…犯人は人質をとり立てこもっていると…

妹が通う小学校のすぐ近く…
妹の帰宅時間が近かった時間
嫌な予感がした…

現場に着き、嫌な予感は見事にあたり…人質が俺の妹だった…

「あり得るかこんな…こんな事って…」

「しっかりしろ!お前がしっかりしないでどうする?」
凛とした声に何とか気力を振り絞った。
銃を片手に家の外に
出てきた犯人を狙い銃が打たれた…
でも、当たったのは犯人ではなく、俺の妹だった…

力なく倒れた妹を、ただ呆然と立ったまま見ていた。
真っ先に駆け寄ったライトニング…止血をしようとしているのだろう服を真っ赤に染め…
必死に声をかけ、目から涙を流す彼女の姿を見た…
これは夢だと…現実逃避をしていた…

「バルトッ!」

真っ赤になったライトニングに殴られやっと、これは夢ではないと思い知らされた。

後でわかった事だ発砲の許可はまだおりてはいなかった…と

その後…シド.レインズは会見で、
軍に落ち度はないと言い放った。
どの記事を読んでも、
騎兵隊が無事に解決した…
被害者は1人にとどまった…
そんな言葉ばかりだった…


「何故騎兵隊に入ったんだ?ライト…」
彼の寂しそうな横顔に目を細め
「私は…シド.レインズに惚れたからだ…」

そう言った…
キッと彼の目が怒りの目に変わった。
ドンッと後ろの壁に身体を押し付けられ、首元にナイフを突きつけられた。
ライトニングは目を閉じたまま
笑った。
「惚れた?ライト、お前は
お前だけは俺の気持ちが分かってくれると思っていた。」

「お前の気持ちなどわからない一‼復讐などする奴の気持ちなどわかって、たまるか‼」

ライトニングの首元に突き当てたナイフがライトニングがもがけばもがくほど、食い込み赤いモノが流れた。

「ライトッ!頼むからジッとしていてくれ。これ以上お前を傷つけたく無い…頼む…」

バルトに抱きしめられ身動きがとれなくなったライトニングは、諦めた様に、バルトの肩に顔を埋めた。

「なぁ、いい事を教えてやるよ…
シド.レインズをお前と同じように絶望へ導きたいのなら…

私を殺せばいい……。」

バルトは目を丸く見開いた…

「なぁ、お前も好い加減おきたらどうだ?ロベルト・ラージャ…」

ずっと寝そべっていた男がその声ですっと起き上がった。

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