シドライ

□守りたいモノW
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「お前の目的はなんだ?ロベルト…」
レインズが口を開いた。

「目的?」

ニヤリとロベルトが笑った…
いま、目があった…
背筋が凍るようにゾクゾクした…

無意識に後ろに一歩後ずさりしていた。

ライトニングは殺気を感じた…
「お前は、なぜ俺を騎兵隊に誘った?レインズ…」

リグディがレインズの方を見る…

「………。」
「お前は、俺に右腕になって欲しいと…その後だ…リグディ大尉が現れ、俺は無用と言わんばかりに、他へ、回された…挙げ句の果てには、19の小娘…シド・レインズの名が聞いて呆れる…」

「………。」

レインズは、唇を噛み締め俯いた…

「お前達も、そのうちに捨てられる…無能な奴は即排除だ…」

「そんな事のために…」
レインズが男を睨み付けた…

「そんな事?お前にとってはそうかもな…俺にとっては違うんだよ。大事なお前の腕を奪ってやるよ…」

男の口角が上がる…
その刹那、物凄い突風が辺りを叩きつけるように吹き抜けた。

ライトニングから5メーター以上離れていたはずのロベルトがライトニングの目の前に現れる。

…早い…ッ…

「ファロン‼」
「エクレール‼」
2人の叫び声が聞こえる…

ニヤッと笑う…

「お前も捨てられるぞ…新しい女を作って…」

「そんなに捨てられるのが怖いか…」
ライトニングはロベルトを睨む

「なにっ?」
「悪いが、私はそんな事は恐れていない…」

スッと男がライトニングから離れる…早過ぎて何処に相手が居るのかわからない…

小さなクリスタルの破片みたいなモノがライトニングに向かって飛んでくる…

クリスタルの欠片達は、ライトニングの腕、足、頬を切りつける…
ごく浅いキズ…それでも血が流れる…

痛みは感じない…

相手が見えない事に不安で、
身体が云う事を聞かない…
必死で目で相手を追う…

…どこ?…

目で追う事に夢中で、自分が傷付いて居る事に気づいて居ない…

「ファロンッ‼」

誰かが叫んだ次の瞬間!
グサッと鈍い音がしたかと思うとライトニングの目の前が黒い影が見える…

肩…荒い呼吸…
腹部に赤いモノ…

その影と目があった…

「大尉ッ‼」

そう。
その影は、リグディ大尉だった…

一番近くに居た彼が、ライトニングを庇ったのだった。

一瞬だけロベルトが見え、また消えた…

腹部を刺された彼は、傷を抑えて膝をついた…

「あぁ〜チクショー痛てぇ〜なんなんだよーったく…」


そういいながら、彼はゴロンッと寝そべった。

「大尉…」

心配で無意識にリグディの前で膝をついていた。

「怖いのか?」
彼の突然の質問に首を振る…

「すみません…私を庇って…」

「対した事無い…痛いがな…ファロン?お前の守りたいモノはなんだ?」

守りたいモノ…

ライトニングの目付きが変わった。

「それでいい。忘れるな。」

こくんっと頷いた。
クリスタルの破片は、途切れる事なく、今も降り続けている…
ライトニングは、リグディの側に落ちていた剣を握る…


「ライト、無茶だ…」
バルトの声、その声で、リグディはライトニングの持つ剣が誰のかわかった。

「ファロン、俺の剣は、お前には重過ぎる。」

剣を手に、地に剣の刃先を引きずる様に持ち立ち上がる…

「でも、今ここにはこの剣しかない…」

私の剣は少し離れた誰も居ない場所に転がっている…

取りに行く時間など…ない…


相手が見えない…早過ぎる…
見えないのなら、見なきゃいい…

「准将…アモダ曹長、大尉をお願いします…」

目を閉じた…

ライトニングの行動に皆が驚く。
目を閉じたまま剣を構えた。

その剣はズシリと重かった。


「ファロン、お前はバカか?
いずれお前も捨てられるのに…なぜ傷だらけで俺に立ちはだかる?そいつは、汚い手を使ってでしか地位を得られない…そういう男だ…護る価値など…ない。」

ライトニングは目をそっと開いた。
「汚い手?」

ふと、レインズに視線を向ければ
レインズはライトニングから目をそらす…

ライトニングは口角を上げた。

「いずれ、私も捨てられるかもしれない…でも、それでもいい…」

「何を綺麗事をッ…‼」

相手がライトニング目掛けて剣を下ろす。
ライトニングはリグディの剣でそれを受け止めた。
キィンっと金属音が部屋に響いた。

クリスタルの破片が飛んでこなくなった。

「汚い手を使うのが悪いのか?
そんな奴腐る様に軍にはいる。
シド・レインズは、そうであってはならないと…そういう事か?」

「……………。」

「だったら、なぜお前は、騎兵隊にいる?
なぜ准将の命令を聞く?
お前も、准将の力を認めてるはずだ…」


「うるさいッ…‼」


グイッと剣に力をいれてくる…


ライトニングは、剣を上に突き上げた。相手の剣は空を舞い、床に転がった。

…こんな小娘に…この俺が…

ライトニングは、拳銃を取り出し、ロベルトの頭に当てた。

「やれっ。」

バキューーーン

辺りに音が響く…

ライトニングが笑った。

「何故だ…何故殺らない?」

ライトニングが打ったのは空砲だったのだ…


「私に人殺しをしろと云うのか?
嫌だ。」

…なんだ?その子供の発想は…

「生きて罪を償え。死ぬなんて許さない。」

何故だか涙が流れた…
こんな小娘に…いや…小娘だから
大人じゃないから、素直に言葉が入ってくる…

「ロベルト、いい大人が泣くなよ。」
そう言って笑われた。

「うるせぇよ。」

何もかもかなわない。
本当気に入らない…でも、悪くない。
辺りに小型飛空挺が三機見えた。

迎えだ…

「ファロン、お前は本当に怖くないのか?」

「ああ。怖くない。
近くに居なくても、守りたいモノは変わらない。」

笑って言う彼女の後ろに、男が2人…まるで、守る様に立っていた。

「羨ましいな准将は…強いな…お前の腕は…」

そう言って、到着した兵達に連行されて行ってしまった。

バルトが、
ライトニングの前に歩み寄ってきた。

「すまなかった…ライト…」

ライトニングの髪をふっと触った…

「思い出すか?」
「ああ。妹と同じピンクブロンド…」

ふわっとライトニングの顔に影が入ってくる…

唇に、柔らかな感触が触れた。

そっと離れると、
彼は後ろのレインズを見た

明らかに怒っている…

「用心した方がいい。ライトは身内、心を許した奴には甘いから。」

「知っている….罪をつぐなったら、騎兵隊に来ないか?感激するよ。」

驚いた…何故この男は俺を?

「考えておく。」
「楽しみにしてるよ。でも、エクレールはやらない。」

ライトニングを自分のマントへ隠す…

大人げない…

「ライト、一つ聞きたい。
お前の、まもりたいものってなんだ?」

レインズのマントから脱出した
彼女は満面の笑みでいった。

「そんなの、決まってる。
騎兵隊 ( なかま )だ。」

悪くない…彼女のまもりたいものになれるなら…
騎兵隊…か…

end


お粗末さまでした。
すいません、本当はもっとバトルシーンを書きたかったのですが…
挫折しました。
お付き合いありがとうございました。

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