ホプライ

□ヤキモチ
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ノラのカフェでホープがバイトをしていた。

仕事も早く終わったので、ノラのカフェで夕食をする事にした。

その時間の店内は混み合っていたが、馴染みのライトニングがくるとカウンターを2席分あけてくれた。
「いつも、悪いな、レブロ。ホープは?」
指差した方向にホープと、女性客…
見慣れた光景…
客だから愛想を振りまいている。
腕を掴まれ嬉しそうに笑うホープ…
客だから、チップを弾んでくれるから…
ただ、それだけ…なのに
なんだか、嫌な気持ちになった。

「なに?ライト、あんたまさかヤキモチ?」

「だぁ〜れがヤキモチやいてるの?」
一つ空いた席に、長い髪の男が座った。
「リグディ…なんで…」
悪びれる様子もなく、レブロに挨拶をかわすと、ライトニングを見た。
「なんでって、メシ食いにきたんだよ。ダメかぁ?」

2人は注文して、会話を続けた。

「で?お前がヤキモチって…」
レブロが指差した先を見る。
ホープが女の子と楽しそうにしている姿があった。

「ふぅーん。可愛いとこあんじゃん。じゃあ、反対にヤキモチやかせちゃえば?」

「はっ?」

リグディはそういうと、ライトニングの手を握り、細い腰に腕を回した。
「リグディ、近い…」
たいして嫌がらないライトニング…
「ホープと付き合ってるんだろ?少しは嫌がるかと思ったんだが…」
ライトニングはクスッと笑った。
「恋人らしい事なんて何にも…付き合ってもう半年…」

リグディは目を丸くさせた。

「キスもか?お前…」

「ホープとはした事ない。だから、わからないんだ。ホープが私をどう思ってるのか…」

ライトニングが急にリグディの胸へ、体を預けた。
「お前っ、急に甘えるなよ。
ドキッとしちまうだろうが!」

「そうか」
冗談だと笑った。
「いいぞ、何かあったら俺の所こい。」

冗談だとわかっている。
「あぁ、ありがとう。」
この男には、想う人が居る。
だから、甘えた…私はサイテーだな…

「さて、王子様のお出ましだ。」
リグディは席を立つ…

「待っ。」
スルッと髪を掴み口づけした。
指でライトニングの唇を触り
こっちのがよかった?
などと、続けた。
「じゃあな。ライト。また明日だ。」

悪戯な笑顔を見せるリグディの背を見送ると、カウンターに体を向けた。
リグディの居なくなった席にホープが座る。

「ライトさん、リグディさんとはなにを?」
「仕事の事だ。」

「ライトさん…嘘ですよね?」
わかってますよ…と小さく囁く様な声で言った。
ライトニングは、ため息を付いた。

「お前の話をしていた。
付き合って半年何もない。お前の気持ちがわからない…だから、
だから、だったら俺の所にこいと言われた。話は以上だ。」
怒り半分のライトニングは、そのまま店をでた。

1人席に残されたホープ。

レブロが見兼ねて声をかけた。
「ホープ!あんたいいの?ライトほっといたら、リグディの所にいっちゃうよ!」

「その方が…」
パッシーン

レブロの張り手が炸裂した。

「あんた!その方がライトが幸せだとでも思ってるなら大間違いよ!
ライトはね、あんたが女の子にチヤホヤされてるの見てヤキモチやくくらい、あんたの事が好きなのよ!
あんた、男でしょうが!
好きな女ぐらい守ってみせろ!」

ホープは、ペコっとレブロに頭を下げる。

ライトさん…ライトさん
何処へ?

息を切らしながら、ライトニングを探した。

「ライトさん‼やっと見つけた。」
ライトニングの腕をグイッと引いた。
「離せ!私は…」
「好きです。ごめんなさい。僕、ライトさんに追いつきたくて、大人になりたくて、自分の感情に嘘をついていました。」

「嘘?」

ライトニングは、ホープの顔を見た。
「ライトさんが僕に対してヤキモチなんて妬いてくれるなんて思ってもいなくて…嬉しかったです。
でも、ごめんなさい。そんなライトさんの気持ちに気づけなくて…

ライトさんとキスしたいです。
それ以上の事もしたい。
ダメですか?」

ダメの訳ない…私達は付き合っているのだから
その言葉が欲しかった。
バイトで他の人を笑わせてる君の顔を独り占めしたかった。
同じ背丈になった彼にキスを送った。

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