アクエリオンEVOL
□可愛いあの娘
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背中に滝のような冷たい汗をかきながら、アマタはこの思いをアンディに伝えようと必死の眼差しで見つめていた。
しかしそんな努力も虚しく、
「「「「アマタ(君・さん)、もちろん行く(行きます)よね?」」」」
ニッコリ!と天使の笑みを浮かべた女性陣は、アマタに地獄の選択を迫る。
…もちろん選択肢など、一つ以外有り得ない。
(あぁ…どうか無事に帰って来れますように……)
その後、
死んだ魚の目をしたアマタが、女子達に罪人の如く両腕を捕らえられて連行されるのを大勢の生徒が目撃した。
――そして1時間前、女子更衣室
「「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!!!可愛い〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」」」
俺、アマタ・ソラは
女子達の着せ替え人形と化していた。
『アマタ君!!私、アマタ君の為にい〜〜〜っぱい衣装を集めてたの!!
今日着てもらえて本当に嬉しいわ!!』
『…そ、そうなんだ。わざわざありがとう…』
『ううん!!いつでも着てもらえるように、ずっと部屋に用意してたの!
他にもまだまだあるからね☆』
『…アハハ……ハァ…』
―…確かに先程、ミコノさんとそんなやり取りをしていた。
しかし、しかしだ。
(…どうしてこうなった。)
アマタは鏡に映る自分の顔を茫然と眺める。
薄く化粧を施され、ピンク色に色付く頬。
唇はグロスを付けたことでぷるんとした艶やかなものへ。
軽く塗られたマスカラでより長く美しくなった睫毛。
赤紫色の大きくパッチリした瞳。
前髪は小さな花柄のヘアピンが付けられており、編み込まれたサイドが可愛らしさを際立たせている。
そして身に付けているリボン付きブラウスと膝上丈のシフォンスカートが、女の子らしくて清楚な雰囲気を醸し出していた。
―…哀しいかな、現在アマタはどこからどう見ても年頃の少女だった。
それもアリシアに似た、とびきり可愛らしい面差しの。
(…確かに、ちょっとは母さんに似てるって思ってたけど、まさかここまで似てるなんて………!!!!)
自分の姿を見て、アマタは大変ショックを受けていた。
男としての尊厳やプライドが音を立てて粉々に崩れ去っていく…