アクエリオンEVOL
□可愛いあの子
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仏頂面で考え込んでいたカグラだったが、ふと隣からの視線を感じて其方に顔を向ける。
すると互いの視線がぶつかってしまい、ボッと頬を染めた二人は慌てて目を逸らした。
端から見ればできたてホヤホヤカップルにしか見えない。
「…あ〜……そういやよ…」
『あ゛〜…』だの『う゛〜…』だの唸っていたカグラが、歯切れ悪くも隣の美少女(まぁ男だが)に話しかける。
「結局、何でそんな格好してんだよ…??
しかもクソ女の臭いまで付けやがって…」
おかげでクソ女と間違えちまったぜ…と人差し指で頬を掻いて隣の男が照れたように言う。
「それは…」
アマタはボソボソと、女装するはめになった経緯を話し出す。
あらかた聞き終えた後には、流石のカグラも眉間に皺を寄せて、それはもう大変哀れんだ瞳で俺を見ていた。
「…なんつーか、まぁ…お疲れさん」
「……」
止めて欲しい。
そんな目で見るのを止めて欲しい。
(改めて自分が如何に惨めなのかが伝わってくるよ…)
この時、アマタは軽く絶望していた。
一方でカグラはと言うと、
(さすが俺のクソ女、よくやった……!!!)
同じ男として同情していたクセに、女子達の素晴らしい所行に
思わず感謝して右手を小さくガッツポーズしたのだが、アマタには知る由もなかった…
「とにかく、俺としては早く着替えたいんだ…
け、けど、この格好じゃ店に入りづらいし何より恥ずかしいし…」
少し俯いたまま頬を薔薇色に染め上げ、もじもじと指先を遊ばせる。
おい、その格好でその仕草止めろ。
死ぬほど可愛いぞソレ。
思わず会話よりもアマタの愛らしい動きに魅入ってしまう。しかし、
「だからお願い!!!
俺の変わりに服を買ってきて!!!!」
「…あ゛ぁぁ!!?何で俺が!!!」
突然の懇願に思わず喚いてしまった。