Novel

□隣に
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私の隣にはまだだーれもいない。

そう。

誰も。


いない。



今年で中学2年生になった私は友達もまだ出来なくて一人ぼっち。

私は花咲柚南(ハナサキユナ)。

母は私を産んだ時に亡くなり、父は母が亡くなった次の日に交通事故で亡くなった。

それからずっと今まで一人ぼっち。

おばあちゃんと二人暮らしだがおばあちゃんは寝たきりの状態で口もきけず、私がずっと面倒を見てきている。


そんな時、唯一私に話しかけてくれた男の子がいた。


理科の時間、私と男の子は同じ班になった。

四人班なのだが、一人は保健室へ行き、もう一人は早退。

最近インフルエンザが流行ってきた。


窓の外をぼーっと見ていると、


「おーい。なあ、花咲だっけ?」

ビクッ

驚いた。

私なんかに話しかけてくるなんて思ってもいなかった。

でも・・・

うれしかった。

私はゆっくり口を開いた。

「・・・はい。」

「俺の名前知ってる?」

「・・・海谷さんでしたっけ」

「おお、知ってたんだ。俺は海谷風太(ウミヤフウタ)。よろしくな」

海谷風太、このクラスの一番のモテ男でもいっておこうか。顔はそこそこイケメンといえばイケメンなんじゃないだろうか。性格は良く分からない。話したことなんてないから。

彼はニコッとこっちをみて笑った。


こんな出来事予想外すぎて心臓が破裂しそうになった。

自分でも気づくほど顔が真っ赤になった。


「よ、よろしく」


目をそらしてしまった。
そして恐ろしいものをみてしまった。

一部の女子等がこちらを見てにらんでいる。

「私の海谷くんに近づかないでよ!」

とでもいいたそうな目と顔だ。


いやいや、誰がお前のだよ(笑)

心の中で一人でしゃべっている。

最近はこういう事はなかったんだけどなぁ・・・。


「花咲ってさ、好きな人とかいるの?」

いまどきのコイバナってやつですか。

コイバナとかしたことないんだけどなぁ・・・


「いないよ。」

海谷が「ふーん・・・」と言うと丁度チャイムが鳴った。


これが中学に入って初めてしたまともな会話だった。
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