企画
□ハッピーハロウィン
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「大地!トリック・オア・トリート!」
両手のひらで、ちょうだいをするスガに、俺は持っていたクッキーの袋をのせた。
「はい、ハッピーハロウィン」
「え?」
「何?」
「なんでクッキーなんか持ってんの?」
まさか、俺がお菓子を用意しているとは思ってなかったらしい。
「絶対、言うと思ってたからな。スガの行動は読めるんだよ」
「あはは、ありがと大地」
スガは嬉しそうに笑う。
「スガ、トリック・オア・トリート」
「あー残念。俺、お菓子持ってないんだよね。あ、このクッキーは渡さないから」
クッキーを大事そうに持つスガに、俺は聞いてみた。
「スガはトリック・オア・トリートの意味、知ってる?」
「お菓子ちょうだい、だろ?」
「正しくは、お菓子をくれないとイタズラするぞ、だよ」
「イタズラ?」
「そ、イタズラ……するよ?」
にこりと笑う俺に、スガは手に持つクッキーをすばやく差し出した。
「はい、お菓子です」
「それ、俺が今あげたクッキーだろ」
スガがどんなイタズラを想像したのかなんて知らないけれど、もちろん俺はクッキーを受け取らなかった。
end.