おはなし

□願い事
1ページ/1ページ

部活動の帰り道。坂を下りながら、今日は七夕だという話題になった。
日向が「俺の願い事は烏野のエースになること」と言うと、影山が「お前そればっかりだな」と一蹴した。いつの間にか恒例になってしまったふたりの言い争いを見ながら、俺は大地に願い事を聞いてみた。

「全国出場」

予想していた答えが返ってきて、やっぱりなと思った。
そんな俺の心を読んだのか、大地は、もうひとつあると言い出した。

「これからもスガのとなりにいたい」
「へ?」

これは予想できなくて、思わず変な声が出た。
大地は楽しそうに、叶いそうかと聞いてくる。

「それは願わなくてもいいよ」
「なんでだ?」
「叶わなかったら、俺が困るから」

大地が声を出して笑ったので、田中たちがこちらを振り返った。

「なに話してたんスか?」
「内緒」

俺たちは目を合わせて微笑んだ。



end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ