おはなし
□願い事
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部活動の帰り道。坂を下りながら、今日は七夕だという話題になった。
日向が「俺の願い事は烏野のエースになること」と言うと、影山が「お前そればっかりだな」と一蹴した。いつの間にか恒例になってしまったふたりの言い争いを見ながら、俺は大地に願い事を聞いてみた。
「全国出場」
予想していた答えが返ってきて、やっぱりなと思った。
そんな俺の心を読んだのか、大地は、もうひとつあると言い出した。
「これからもスガのとなりにいたい」
「へ?」
これは予想できなくて、思わず変な声が出た。
大地は楽しそうに、叶いそうかと聞いてくる。
「それは願わなくてもいいよ」
「なんでだ?」
「叶わなかったら、俺が困るから」
大地が声を出して笑ったので、田中たちがこちらを振り返った。
「なに話してたんスか?」
「内緒」
俺たちは目を合わせて微笑んだ。
end.