おはなし

□3年4組
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穏やかな午後。
昼休みあとの五限目ということもあってか、みんなどこか気だるげである。どうどうと机に突っ伏して寝ている生徒もいる。
教壇に立つ先生は、黒板に向かい数学の問題を解いていた。
大地はそれをノートに写しながら、ふと、スガの方を見た。
最近スガは朝練前から体育館に着ているようだった。おまけに昼ごはんを食べ終えると、すぐにどこかへ行ってしまう。スガはなにも言わないが、日向とバレーの練習をしているのは知っていた。
疲れているのか、スガの頭はこくりこくりと揺れている。
ふだんあまり見られないスガの姿に、大地はおもわず笑みがこぼれた。

チャイムとともに数学の授業は終わり、教室は賑やかになる。
大地はスガの席へと向かう。
まだ眠たそうな顔をしているスガは、あくびをひとつして目をこすった。すこし潤んだ瞳が大地を捉えた。

「どうしたの?大地」
「スガが寝てるなんて珍しいと思ってな」
「寝てないよ」
「俺には寝てるように見えた」

「大地」と呼びかけ、スガはにこにこと笑う。

「授業中は俺じゃなくて黒板見たほうがいいよ」
「俺はお前を見ててもいいんだよ。ちゃんとノートとってるし。あんま無理すんなよ」とポンと頭に手をのせる。

「なんか目冴えちゃったんだけど」

スガは、照れたように視線をそらした。



end.

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