フェアリーテイル
□あの事件
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いつものように風に乗り、依頼があった村の近くで降りる。
そこは山のふもとにあって、問題の花はその山の斜面に生えているらしかった。
一目では、人の命を奪うような花が生えているとは思えない風景。
のどかな雰囲気に、東の森をつい思い出した。
「いいとこだな…」
「…そうね」
クリスタルはチラリ、と山の斜面に視線を向けただけで、さっさと村に向かって歩いていこうとする。
「…待てよ」
そうなことを言って、待つような奴じゃないことも、
振り返るなんてことをするような奴じゃないことも、分かってる。
そんなクリスタルの性格にもさすがにもう慣れた。
たまに、この関係がよく続いてんなーと思うことも、言われることも多々あるが、
何だかんだ言って、クリスタルは悪い奴じゃない。
だからオレはクリスタルの傍に居続けている。
…この関係がオレにとって、
何よりも大切だったと気付くのは。
意外とすぐ後のことだった。